神さまのいない日曜日#6「オルタス III」

 オルタス編、完結。
 全体に駆け足ではありましたが、クライマックスでのアイとウッラの語り合うシーン、キリコを介し抱きしめあう三人のシーンの美しさ切なさが、強く胸に響き。ここに大きく尺を取ったことには納得です。長い長い会話でしたが、絵の美しさ、ウッラの声の優しさが、すんなりと心に落とし込んでくれました。

 ただ、そこに至るまでに、あっちこっちシーンを飛ばされた感が強いのは残念というか勿体ない。だいたい、五分割な五人、全員登場していないよね……?別の場所に居るのか(だったら言及があっていいのに)、省略されたのか。
 ライオン仮面くんの掘り下げも、もっと見たかったなぁ。じゅうぶんに衝撃的で、哀しく、甘く、好みの設定ではありましたが。
 思うに、国籍留保制度みたいなものですね。成年に達して後、生きる国を選ぶ。生者の国か、死者の国か。
 死者の両親のもと、死者の国で育った子供に、その選択は過酷に過ぎる、とは思いますけれど。
 セリカの登場も、なかなか突然でしたし。スカーとの繋がりが、いったいどこから来たものなのか。これについては、今後説明されるのかな。
 ……うーむ。やっぱり、また原作を読んで補完しようか。本来アニメはアニメだけで満足できるものであって欲しいんだけどな。

 アイとウッラが似ているということ。アイの成長物語として見ると、第二章にあたる部分で、己を客観的に見るために、映し鏡となる存在を提示する、というのはたいへん王道であります。ビルドィングス・ロマンであります。
 そこに生者と死者の舞踊を絡めることにより、退廃的、かつ厭世的な味付けが為され、本来健康的なはずの成長物語が、なぜか悲劇性、哀切さをはらんだものとなる。
 このお話の魅力は、これに尽きますね。私の場合。
 
 死と生(生と死、ではなく)を媒介として、紡がれてゆく物語。

 死者を完全に否定することがないのが、ポイントなんだろうな。
 ハンプニーハンバートは死者を毛嫌いしていたし、彼の理念がアイに少なからず影響を与えているとは思いますが、同時に「死者の谷」での優しい死者たちに囲まれて育ったことも、アイの中では大きかろうし。
 せめぎあいの中、しかし健やかであり続けるアイの精神が救い。
 この先どうなるかは分かりませんけれども……って、次回から学園編かい!どう転ぶのか予測不能すぎる……。
 とりあえず、Cパートに出てきたアリス・カラー君は、今からたいへん気になります。この手の少年役に内山昂輝は鉄板すぎてずるいだろー。ああ楽しみ。

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神さまのいない日曜日 1 (ドラゴンコミックスエイジ あ 6-1-1)
 コミカライズ。表紙の絵がなかなか雰囲気があり、アイが幼すぎないのが良い感じです。こっちのキャラデザでのアニメも見てみたかった……かも。
 レビューもわりと好感触なので、機会があれば読んでみたいなあと。アニメ、原作小説、コミック版って、どんだけハマってるの自分。と言いたくなりますが。

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