映画『かぐや姫の物語』

 初日の初回上映で見てきました。
 やはりこう予断を持たずに見るのが一番いいよねって。

 なのにうっかり上映前にパンフレットを読んでしまって、そうしたら、そうしたらですね、冒頭に高畑監督のそもそもの企画書抜粋というものが載っていてですね……。
 姫の犯した罪と罰
 罪とは何で、罰とは何か。が、すべて書かれておりましたハイ。

 まあ、私は基本的に、「まず分かりやすい物語があり」「ああ、おもしろかった。と見終わることができ」「その後ふと振り返って反芻した時に考えさせられる部分が多々あったと気づく」という流れが好きなので。エンタメにおいて。
 アニメ見る時とかマンガ読む時にまで、国語の教科書みたいに「このおはなしで作者はなにをいいたかったのでしょうか」「この表現からよみとれることはなんでしょうか」みたいな設問を脳内に置きたかぁねえよなぁ。そういうことです。

 そういった意味において、この「かぐや姫の物語」は、まず原典が竹取物語という馴染み深くも奥深い物語であり、またあらすじの予備知識を持っていることが助けとなり、構えずに見ることができて、構えずに考察(という言葉もあんまり好きじゃないですが)することが出来ました。
 誰もがストーリーを知っているからこそ、そこに上乗せされたオリジナル要素、埋め込まれたテーマ、作家性といったものが、却って浮き彫りになる。そういう作品も、有りなんだな……とかとか。

 そんなの考えたのはだいぶ後になってからで、見ている最中は、ひたすら「絵が綺麗だなぁ」「(序盤)翁かわいいなぁ」「(中盤以降)女童ちゃんかわいいなぁ」とか。そんな感じで。
 実際普通に見ると序盤の翁のかわいさと全体通しての女童ちゃんのかわいさに(パタリロ顔とか世界観壊しとかで好まない人もいるようですが)惹かれるというか救われるというか。
 姫には感情移入しにくかった。多分、私の内面の問題が大きいのだと思います。彼女の罪。罪に至った心。願い。そういったものと、ひとつもシンクロ出来なかったから。
 ……わりとね、リア充向けの作品だと思うです。テーマ的に。

 美しい絵に酔いしれて、ひそやかに仕込まれた毒に心を引っかかれて、大きく話の跳ねる何か所かでは、呆気にとられて。
 後になって解釈、解説を目にして、ああ、そうだったのか。と思いましたが、本当に呆気にとられる場面がいくつかあります。けれど、普通に見て、普通に呑み込んだままでも、それはそれでよし。

 ぱっと見の印象よりも冷たくて、ぱっと見の印象よりも優しい。
 そんな映画である、と思いました。

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かぐや姫の物語 サウンドトラック
 グッズは山ほど出ていますが、なにかひとつ買うとなったら、やはりサントラでしょう。劇中歌の「わらべ歌」が収録されていることが第一。

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