映画『寫眞館』『陽なたのアオシグレ』

 どうにも気持ちが落ち込んでしょうがなかったところに、なんとなくTLでタイトルが目に留まったので。短編映画二本立て、ささっと気分転換になりそうかな、と。
 多分「陽なた」「アオ」「シグレ」という、ひとつひとつの言葉が、楽しそうで綺麗そうで、そこに惹かれたのかもしれない。

 「寫眞館」「陽なたのアオシグレ」公式サイト

 ベテランなかむらたかしの作品と、新人石田祐康の作品。それだけでもう、面白すぎる二本立てです。
 感想ツイートで見かけた「風立ちぬラピュタを連続で見たような感じ」が、多分ものすごくハマっていると思う。

 ベテランの技と愛情をしっとりじっくり楽しめる「寫眞館」は、とにかく見て泣け、あるいは見て泣くのを我慢しろ、と言わんばかりの作品ですが、そこからシームレスな二本立てで全身全霊で作品内外における若さと愛のパワァを叫ぶ「陽なたのアオシグレ」へと切り替わるのが、なんか、凄かった。
 そういう意味でも、これは是非ともセットで、映画館で観るべき映画。と言っても全国で3館しか上映していないそうですが……ああ、もったいない。
 口コミが広がれば、短編二本だし、限定であっても上映館が広がる可能性はあるかも。あったらいいな。などと言いつつ感想は遅れてのアップで申し訳ないのですが。

 台詞は無し、ほぼ全編をピアノの旋律で埋め尽くす「寫眞館」。
仏頂面の女の子と、その子をどうにか笑顔にして写真に収めようとする写真師の、ほのぼのとしたやりとり。そして時の流れ。
 淡々としていながら、万人の心に響く……ありがち、ではなくて、普遍的な物語。
 なかむらたかしの作画(なにしろ全編なかむらたかし自身の原画)に酔わせられながら、存分に味わいました。ほろ苦く、ほんのり甘く、時という重みをともに舌に乗せて。

 一方の「陽なたのアオシグレ」は、初っ端から片思い小学生男子の若干饒舌なモノローグと妄想から入る、終始にぎやかな作品。
 可愛らしいキャラクター、とりどりの色彩、びっくり箱みたいにキラキラ、チカチカ、目の前が眩しくなるほどの妄想のアニメート。
 監督は自主制作アニメで名をはせた人で、そういう前知識や期待感があるとまた違う感想を抱くようですが……予備知識なしで初めて作品を観た私としては、新鮮で強烈で。おもしろうございました。

 ほんと、いい二本立てだった。時間の短さに比して、上映前のCMが長すぎるのがたまにきず、だけれど、これは作品のせいではないし……。
 上映館が少ない&ほぼ終了しているようですが……海外で賞でも取って、凱旋上映とかしてくれないかな。などと願いつつ。

amazon link

フミコの告白+メイキングブック(DVD付)
 石田祐康ってこの作品で名をはせたのか。寡聞にして知らず、大変失礼を。しかし、予備知識なし、先入観なしで観たのは、それはそれで有りということで。

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村 アニメ感想ブログ