神さまのいない日曜日#5「オルタス II」

 オルタスの光と闇。むしろ薄暮と闇。闇の中の薄暮
 雰囲気の美しさは今回も変わらず。もう、この世界を味わうだけで、満足してしまう最近です。
 美術、音楽。今回は、懸念していた作画も持ち直して、止め絵は美しく、動く人物は愛らしく、表情はしっかりと演技して、と満足のいくものでした。

 このアニメのポイントとしては、アイがすごくかわいくて、尚且つかわいくないこと、だと思っているのですが(絵柄でも性格でも言動でも)、それがきっちりと描かれるためには、一定以上の作画レベルは必要だよなぁと思うので。
 単純に、ヘタれていると背景負けしてしまう、という問題もありますね。

 キリコの出自と、ウッラという姫君の存在と。
 キリコについては、ライトノベルらしい重さ(と言うと語弊がありますがある種の正統派という意味で)がある、良い(と言うと語弊がありますが以下略)過去エピソードだな、と思いましたが、欠落五芒星にはわりと度肝を抜かれました。まさか前回登場のあの二分割なひとに、そんな背景があったとは。つうか二分割じゃないですね五分割ですね。……しばし頭の中でいろいろ計算してしまった。割って、足して、割り振って。ううう。
 一方、ウッラについては、現時点では謎の部分が大きく。どういう方向に考えても、辛い境遇、辛い行く末に思えてしまう。救いとなるのはキリコか、アイか。

 そして、オルタスという都市。
 生者が住まうには、生を棄てるのが掟。なるほど理に叶ってはおりますが、理に叶っていても情に叶うかどうかは、また別の問題であり。
 拒絶したユリーの健全さは頼もしいですが、これだけ病んだ世界で、健全であることが果たして正しいのか……生きにくくなるだけではないのか。

 などと見ていて複雑な感情にとらわれましたが、それゆえに、ウッラを思い生者と死者を思い、ひたむきに突っ走っていったアイが、危なっかしくも眩しく見えました。
 世界を救うと決めたアイ。オルタスでその心は伸びゆくのか、折られるのか。
 ……なんだか保護者気分で、見守っております。

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神さまのいない日曜日II 死者の国 (角川文庫)
 原作はここかな。とてもキリが良いというか、原作のどこまで進んだか分かりやすいので、アニメで該当部分が終わったら原作を読む、という流れが、きっちりとはまりそうです。いやでも追いついちゃうかな角川文庫版は。
 今回、性急に感じた箇所がいくつかありましたが、そこらへんも原作を読めばきっと補完出来るのでしょう。しかしアニメだけでも足りている。そこんとこ、大事。重要。有り難い。

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