神さまのいない日曜日#1「死の谷I」(新)

 原作未読。
 男性キャラクターの比率が高め&シリアスなストーリー系のファンタジーラノベ原作、ということで、事前の期待度はそれなりに。

 元々、ファンタジーやSFラノベは好きなほうでした。何故過去形なのかというに、最近は殆ど読んでいないから。
 わたくし、世代的には、いわゆる「ラノベという呼称が生まれる前」からのラノベ読みです。朝日ソノラマ通過しました。コバルト文庫通過しました。スニーカー文庫通過しました。富士見ファンタジア文庫の創刊に立ち会いました。ハイ。

 閑話休題

 第一印象としては、いかにも少し前の富士見ファンタジアらしい作品だなぁと。
 ファンタジーを主軸とした物語。世界に謎があり、仕掛けがあり、主人公の過去に幾分の苦味があり。

 若干の違和感は、ヒロインの年齢の低さ。
 絵柄とあいまって、ここで受け付けなくなるかも、と思ったのですが、幼さにも理由はあり、育ってきた環境が書き込まれていること、そして性格や言動が一途で可愛らしく、哀切でもあり、媚びを感じられなかったこと(しゃわーしーんはどうかとおもいましたけれど!)で、普通に見ることが出来て安堵。

 ストーリーは、退廃的な世界、幼いヒロインに降りかかる事件、謎めいた村の構図……それらを、手堅く過不足なく説明しつつ、さらなる興味をかき立ててくれるものでした。
 墓守とは何か。アイとは、アイの母とは何者か。村が抱えていた秘密は何か。
 ハンプニー・ハンバートを名乗る男性の正体は。意図するところは。

 ミステリアスで、少々ショッキングな場面もありますが、無駄に煽り立てる演出にはせず、美しい背景美術に溶かし込むようにして抑制しながら雰囲気を盛りたてているのが、だいぶ好みです。
 アバンの使い方も効果的。そして、アバンやら回想やら、一話の中で時間軸が何度も行ったり来たりしているのに、見ていて惑うこと無く、するりと飲み込める。
 そのあたりの上手さは、シリーズ構成&脚本の金春智子の手綱さばきによるものかしらん。さすがのベテラン。

 ともあれ、個人的な好みもあり、第一話としての引きはじゅうぶん。
 キャラクターに惹かれる要素も、充分にありそう。まずハンプニー・ハンバート(仮)は外見やら言動やらだいぶ好みだし、オープニングに出てくる少年もオサーンっぽいキャラもだいぶ好みだし……と、男性キャラが多く出てくれるのは、ほんと嬉しい。
 まずはファースト・エピソードの完結まで。様子見しつつ、お付き合いさせていただこうかと。よろしくよろしく。

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神さまのいない日曜日(富士見ファンタジア文庫)
神さまのいない日曜日  墓守の少女(角川文庫)
 新装丁で角川レーベルからも発売。一般にも訴求しやすいイラストに替えて……と、いつもの角川商法なわけですが、それにしても。アニメ化に際してアニメ準拠「ではない」イラスト版を出すというのは、意図不明というか、迷走感にも限度ってものが。
 児童小説のファンタジーとか、そのへんとの親和性を狙っているのかな。それにしても、読者に優しくないなぁ。

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