カーニヴァル#13「カーニヴァル」(終)
最終回まで来てから、あらためて振り返ると、花礫を主体として見れば至極まっとうな成長&冒険物語だったのですね。すごく今さらですけれども。
原作が途中ということもあり、いわゆる「おれたちのたたかいはこれからだー」エンドになってはいますが、やけに清々しくて、未来への道が真っ直ぐに伸びていて。見終わって、とても気持ちの良い最終回でした。
パートはおおむね三つに分かれていて。
まず、前半の戦闘は、これもまたいわゆる「ここはおれにまかせてさきへゆけー」展開ではありましたけれど、暑苦しさや押しつけがましさが欠片もなく、洒脱で、スマートで。
見せ場というよりは、晴れ舞台に立った役者……演者。そんな印象を受けたあたりも、この作品らしいクライマックス。観客目線で、とても楽しゅうございました。
でもって、ようやっと无と嘉禄が対面するシーン。しかし思わせぶりなまま、何も明らかにならないままに終わってしまった……。
一応奪還はしたから、それでいいのかな。どうなんだ。もう少し突っ込んで欲しかった気がしますが、ここから広げるのも尺的に無理だし、しょうがないのかなあ。
嘉禄絡みのあれこれは何も解決していない、というか謎を振りまいただけで終わってしまいましたが、これはもう物語のフックとしてのみ存在したと思うべきなのでしょう。続き……二期があれば、また別ですけれども。
物語の終息と、新たな方向を示す、エピローグパート。
鬱屈から自身の修練へと目を向け、歩き出す花礫がとても素直に良い子で、見ていて思わずしんみりほのぼの保護者気分に。
輪に戻ってくるための決意であると知らずに(知らされずに。平門さんいい仕事)淋しがる无とか與儀とかツクモちゃん無器用可愛い(えっ)とか、ここまで見てきて、登場人物を好きになってきた視聴者へのご褒美のような、楽しくてほのぼのするシーンで、ニヤニヤ&ニコニコしちゃう。
別れではなく、ともに歩くための旅立ち。それを祝うかのように、世界は美しく。誰の瞳の色も曇りなく美しく。
ほんとうに晴れやかなエンディングでした。イントロからのエンディングテーマがまた、しっくり合っていて。
いかにもゼロサム系なファンタジー。雰囲気先行の設定。大量のキャラクター配置。と、私的に好みに合いそうで実は微妙にずれた部分の多い作品だったのですけれども、作画・音楽・背景その他が美しく整えられて心地良かったこと、キャラクターに愛着が湧いたこと(與儀とか與儀とかツクモちゃんとか與儀とか)で、なかなかに気に入りの作品となりました。
ことに音響、音楽が、このきらきらしい世界をしっかりと側面から支えていたことは、覚えておきたい。
1クール、短かったな。続きが見たいな。二期はよ。ほんとに。
楽しませていただきました。スタッフの皆様、ありがとうございました。
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カーニヴァル(1) (IDコミックスZERO-SUMコミックス)
二期を願いつつ、原作コミックにも手を出してみようか。
毎週のCMも楽しかったなあ。バージョンいくつあったんだろう。一迅社のCMシリーズは、社名の認知度アップにはものっすごく威力を発揮していたのではないかと思います。大手出版社に比べるとどうしても知名度に劣っていて、それが弱みとなることは多々あるでしょうし。戦略としてなかなかの好手じゃないかしらん。