翠星のガルガンティア#8「離別」

 帰還が不可能であると告げられるレド。その心境はいかばかりのものかと。
 けれど、それよりも今は、エイミーを、べべルを、ガルガンティアを想って、ヒディアーズを狩ることを考えている。
 なあんだ。レドはレドじゃないか。誠実で、自分も他人も気づかぬ、気づきにくい優しさを持っていて、自分よりも他人……というより、己という個ではなく、銀河連盟、あるいはガルガンティアという全のことを最優先にしている。
 今はボタンのかけちがい、道の行き違いで、互い傷つけあってしまっているけれど。互いに分かり合えたら……というよりですね、もっとレドの気持ちにも歩み寄ってあげようよエイミー(とべべル)。もう言ってるじゃないか「守りたい」ってさぁ悲しませたくないってさぁ!などとレド贔屓の身としては思ってしまうま。

 今回のもうひとつの大きな流れとしては、船団長の葬儀と、リジットの決意。
 リジットにとって、前船団長の存在は、公私ともに大きかったがゆえに、常ならば持っていたはずの判断力、冷静さを欠き、またひとりですべて抱え込んでしまった、ということかな。
 それにしてもベローズ説教の安心安定、万能さよ。

 ふと思いましたが、これ、ベローズ以外の誰か、たとえばクラウンあたりだったら、死亡フラグになりかねないレベルの強力お説教だったような。それだけベローズが、生命力・活力に溢れている、ということだな。

 ともあれ、リジットは船団長として立ち、けれど去りゆく者をとどめることは出来ず。
 エイミーには、レドのみならず、身近な存在であった友人との別離も。
 ……っていうか今回初めて、メルティとサーヤを、「メルティ」「サーヤ」という人間として認識出来た気がします。
 今までは単なるエイミーの友人……というより、「華を添えるための女の子キャラ」にしか見えなかった。サーヤがえんえんと快楽天としか呼ばれなかった理由の一端が、ここにあるんじゃないか。とも、ちょっと思ったり。だって「サーヤ」という個体として認識できなかったもの。

 メルティとの別離を憂う。エイミーを気遣う。お互いの立場を思いやる。友人として。また、ガルガンティアの一員として。それは「快楽天ちゃん」じゃない、「サーヤ」にだけ出来ることで。エイミーとの短い会話は、長い間培ってきた友情がそれだけでしっかりと感じ取れる、良きシーンでありました。
 メルティもだけれど、ここに至るまでに、掘り下げがもっと見たかったな。水着回、お祭り回あたりを使って、いろいろ出来たはずなのに。
 その二話において、きちんと描写を重ねてきていたベローズとピニオンが、ここに来てしっかりと動いているのを見ても、つくづくもったいなかったなぁと。
 いや、まあ、こんな事態にならなければ、見えなかったものでもあるのだろうけれど。うん。

 レドのみならず、エイミーのみならず、リジットのみならず。ガルガンティアに生きるすべての人が、なんらかの選択を強いられる。
 しかし、端緒となったのは、やはりレドとチェインバーであり。すべては、彼らの行動にかかるものであり。
 物語の扉を開く。それこそ、主人公なんだな。
 ……では、閉じるのも?

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翠星のガルガンティア少年と巨人
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 それでもファンなら欲しくなっちゃう前日譚。悩ましくも、憎らしい。

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