宇宙兄弟#58「本気の失敗」
ピコとビンスと、そして、リック。
宇宙飛行士を目指していた少年時代の回想が主体となった今回でした。
純粋な宇宙への想いと同時に、進路決定の時期、周りの大人によって「現実」という檻へと閉じ込められることへの憤りと怯え、小さな町の閉塞感も描かれて、見ていて楽しくも心が痛くなります。
しかしあの教師は無いよなぁ。あまりにも酷すぎるよなぁ。
実際に高校の進路相談室で「宇宙飛行士になります!」とか言ったら、まあ、ああいう扱いを受ける可能性は高そうですが、そこで教師が頭から潰したらいかんよね。と、なんとなく反省。いや教師でも親でもないワタクシですけれども。
それにしても六太は、ピコが己と重ね合わせたと思ったら、今度はリックと重ね合わせて見られてしまうとか。見ようによっては、ビンスのスピード試験も、同種のものかもしれない。ビンスが認める、認められる人物であるか、試されているということが。
六太とは、誰もが何かを投影していく、投影したくなる人物なのかな。
いわゆるカリスマというのともちょっと違って、だらしなかったり、情けなかったり、けれど「自分の敵は自分」という言葉の通り、何だかんだで自分を乗り越え続けてきた。あまり格好良くはないけれど、ひとつひとつ、決意を固めながら。
ゆえに、誰もが共感を抱く。作品内の人物も、作品外の視聴者も。
次回もまた、過去回想編。
しかしここまでしっかりと固めたビンス&ピコという組み合わせの意外な過去を知ることが出来る楽しさゆえに、足止め感や引き延ばし感はまったく感じられないのが嬉しい。
ただゆったりと身を任せて、楽しんでおります。
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星は、すばる。(白泉社文庫)
過去のエピソードで、この作品を思い出しました。今となっては懐かしすぎる少女マンガ作品。『ぼくの地球を守って』の作者・日渡早紀の受賞作かつデビュー作。
星が好きな女子高生が主人公の、基本は青春恋愛+ちょっぴりSF、天文部もの。で、作中に進路相談で「NASAへ行きます!」と言い出すシーンがあるんですね。
今なら「JAXAへ行きます!」なんだろうな。そう考えると、少しは近づいているのかな。