AMNESIA#5「V」

 主人公ちゃんの名前が呼ばれないことにも、もう、慣れました。
 主人公にデフォ名のないゲームをアニメ化する際にはベストなんじゃないかしら。アニメでお約束の「名前を叫ぶ」「名前を呟く」台詞を多用する安易な脚本を許さない、という意味でも、個人的にはだいぶ面白いです気分良いです。

 これはもうシン編おわり、イッキ編開始ってことでいいのかな。いいっぽい。
 キャラクター別ルートをアニメ化する、というのは、これまでにも取られたことのある手法ではありますが、主人公が(特殊な設定下にあるとはいえ)基本的に人格・記憶を保ったまま継がれていってしまうので、「ほいほいと男を乗り換える娘さん」に見えてしまわないように、細心の注意が必要ですよね。
 前回までのシンとの関係が、それなりに盛り上がっていただけに、なおさら。

 で、そのへん、なかなか上手く作られているなぁと。
 イッキが恋人であると認識しても、シンのことを格別に思い出すわけではなく、しかし迫られてのキスは拒否、というイベントのはめこみかた。ベストバランスですよベスト。
 主人公ちゃんの儚げで不幸属性な雰囲気、「日報」を要求するメールの不穏さ、などとあいまって、同情はするけれど「ばくはつしろ」とかはあまり思わないという。
 そもそもイッキが変態くさいしなぁ。シンも性急でぶっきらぼうで、主人公ちゃんより先に感情移入する対象にはならなかった、ということも大きいのかもしれない。

 いい人属性(っぽく予想しているんですが)のトーマが後回しにされているのも、そういった演出と関係しているのかな。最初に真っ直ぐ想いを寄せてくれる善性の人と親しくなったら、その後が逆に辛いもんね。

 シンの時は、事故の件やら人殺し疑惑やらがサスペンスとなっていましたが、イッキについては、取り巻き関連でのドロドロがメインなのかな。女の嫉妬、争い、怖いな……でも、面白いな。

 主人公ちゃんにまつわるサスペンス。個別の男性キャラにまつわるサスペンス。二重のプレッシャー、ドキドキも二倍。面白い構造であります。

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AMNESIA CROWD (限定版)
 4月発売予定のこちらは、ファンディスク二作目。単純に続編ではなくFDをつないで行くあたり、それだけ根強いファンが居るってことなのでしょうか。ストーリーの仕掛けが大きい作品だけに、安易な続編を作れない、ってこともあるのかな?

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