スマイルプリキュア!#48「光輝く未来へ!届け!最高のスマイル!!」(終)

 名にスマイルと冠したプリキュアでありながら、最終回で泣きまくり。全体の半分くらい泣いていたじゃないですかー。
 ……悲しみの奥底までおりて、なお、希望を持ち続けることの意味。本当の笑顔を取り戻すに至る、決意。描かれたのはそういうものなのかな。

 絶望の隣にはいつも希望がいて、手を差し伸べている。それを象徴しているように思われたのが、キュアハッピー無限シルエット(違)がピエーロを抱きしめるシーンでありました。
 抱きしめるという行為が持つ、文字通り無限にして無償の肯定に、きっと意味がある。
 ピエーロの背景について、絶望の成り立ちについて、もう少し掘り下げがあったならさらに感動的だったと思うのですが、あえてプリキュア&キャンディの関係に絞り込んで、個としての感情に視線を向けていたのは、それもそれで有り。
 楽しい単発エピソードがスマプリの基本路線だったわけで、その日常の楽しさ、友達と過ごす楽しさが奪われることが、最大の危機であり葛藤であるのは、正しいのではないかと思います。正当というよりは、正統という意味で。

 擦れた目で見ちゃうと、いやいや映画版もあるし、第一プリキュアって伝統的にペットはその後も生活を共にしますし。とか思っちゃうんですが、ここはきちんと、みゆき達の心情に寄り添って見るべきなんだろうな。
 五人の泣き方とか、台詞の分配とか(全員に等分にあろうとして、結果的にメリハリが薄くなっている)若干残念に思う部分もありましたが、総じて最終決戦、物語の大団円へ向かう道として、美しくまとまっておりました。満足の最終回。
 しかし、エピローグ部分はもう少し長く尺を取っても良かったんじゃないかなあ。各人のモノローグも、個別回で一度やってるから、いまひとつ新鮮さが薄かったし……うーんうーん。ちょっとハードルを上げすぎているかなあ。

 総じて。
 明るくて可愛くてわいわい賑やかで明朗快活なプリキュア。とても楽しませていただきました。
 最初から五人で始まり、中盤で加入するプリキュアもおらず(てっきり二人加入して虹の七色になるかと思ったんだけどなー)、どろどろした人間関係や悲劇性も皆無で、毒が無いと言えばそうなんですが、この毒の無さを一年かっちりと押し通し、しかも飽きさせなかった(少なくとも、私は飽きなかった。毎回楽しみだったし楽しかった)ことは、裏返せば、丁寧に誠実に、ぶれない体制で仕事が為されていたがゆえ、ではないでしょうか。
 個別エピソードをぐるぐるまわしていた中盤にしても、構成や素材の使いまわしは一切せず。五人それぞれの個性をきっちりと浮かび上がらせて、毎回どんな手法で来るか、楽しみでしょうがなかった。
 個人的に印象に残っているのは、リレーのエピソード、やよいの父親のエピソード、そしてあかねとブライアンのエピソード……でしょうか。どれもべろべろ泣けましたよべろべろ。
 明るくて可愛くてわいわい賑やかで明朗快活なプリキュア。でも泣かせるところで泣かせてくる。ずるいぜ。

 終盤、というより、完結させるためのファイナルエピソードには、演出込みで少々迷走した感というか、もう少し交通整理しても良かったんじゃ……と思わせられる面もありましたが。悪役側のフォローが雑すぎるのも勿体無く、哀しかった……けれど。
 作品全体を鑑みて、文句なしの良作、佳作であったと思います。

 震災の後。あんなことの後だから、笑顔で、楽しく、未来に進むために、元気になれるアニメを。
 そのコンセプトを貫き通したこと。何よりも素敵でした。

 スタッフの皆様、素敵な作品をありがとうございました。

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 BD-BOX。ジャケットイラストのサニーさん美しい。あかねは本当に好きだったなぁ。器用な関西人、と見せかけて、友情にも恋にもたいへん無器用。ああ可愛い。
 また映画で会えますわよね。うん。ほんとの「さよなら」じゃない、ってのは、幸か不幸か。

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