宇宙兄弟#40「天国で地獄」

 一話まるごと通して、月面活動中の危機がシリアスに描かれ、六太の出番は無し。
 ってのは、だいぶ思い切っている気がします。

 ゆっくり丁寧に描かれるのはいつものことですが、ゆるやかなテンポでも緊迫感はずっと保っているのが凄い。
 ダミアンの家族との触れ合いというドラマを挟み込むあたりは、分かりやすくて安易な手法に見えますが、それがきちんと「ダミアンを背負う」ことに繋がる、伏線として配置してあるのが、上手いなあと。
 日々人が背負ったダミアンの重みは、彼の息子の重みと同じであり、それはつまりダミアンの人生の重みそのものを暗示してもいる。ということが、自然に沁みてくる。

 日々人はきっと、理屈ではなく、そのへんひっくるめて「抱えた」んだろうなあ。

 事故そのものの描き方もまた、極めてテクニカルに、ピンチの上塗りをしてくる。状況の好転と悪化の積み重ねかたが実に絶妙で、見る者を引っ張ってくれます。
 あいだに幾度となくブライアンが回想として登場するのも、受け継ぎゆくもの、乗り越えてゆくもの、支えられているもの、そういったもの全体の象徴となっていて、感動を高める準備になっているというか。
 でもって緊急事態に対策を講じ始めるNASAJAXA。このへんも見ていて面白くて燃えてしょうがない。
人、という字の、支える方の人々。格好良いんですよ。うん。

 次回、六太がこの事件に際してどんな反応を見せるか、どんな態度を取るか。見どころであり、楽しみであります。

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宇宙兄弟 19 (プレミアムKC)
 これは19巻ですが、原作コミックスの20巻は2月発売予定。限定版はDVDつきで、内容はプラネタリウムでの特別プログラムとか。ってえぇーそれはちょっとかなり見たいな……なのに、Amazonでは今のところ商品ページが見つからなかったり。これ難民出そうだなあ。予約締め切り前にしっかりしたリアル書店へ、が、一番確実かもしれません。