うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%#13「マジLOVE1000%」(終)

 誰もが期待し、待ち望んでいた着地点に、きっちりと着地するのは、実は意外に難しいと思います。フィクション、ことにアニメの場合。

 第一話のオープニングを見た時の、あの驚き。
 オーディションのパートナー選びの時に、これはまさかのSTA☆RISHエンド大団円来る?と思った瞬間の、どっきり感。
 シャイニー登場シーンが原作ゲームにも増してあほんだらだった時の、迸るナニカ。

 イロモノネタアニメにカテゴライズされがちだけれど、本筋は正統派でシンプルな少女のサクセスストーリーであることも。

 すべてが満たされた、素晴らしい最終回でした。

 前回の引きで、最後の盛り上げであった、春歌のプロとしての目覚めは、ほんと王道中の王道「故郷に逃げ帰る」をやってくれて、いやあ気持ち良いわーここまで王道だと!
 今まで何度も名前だけで出てきた「おばあちゃん」を、ここに来て伏線として取り上げるのも、ベタだけどすごく上手い。春歌がへこんだら、そりゃおばあちゃんのところに行くよね。と、すんなりと納得できる。

 素晴らしかったのは春歌の沢城みゆきさんの演技で、祖母との会話では、学園での弱気そうで控え目な声よりもずっとくつろいで、距離の近い、甘えた声になっている。それにより、祖母という存在にどれだけ心を預けているか、しっかり分かる。いやほんと素晴らしいです。泣きの演技も最高だった……。

 と、いう、しっとりとした展開から、未来地図を歌いながら迎えに来るシュールな絵面で、思わず床を転がりまくった!
 でもいい歌なんだ。いい声なんだ。だから余計に転がる……。
 そしてまあ、だいたい予想できた通り、シャイニーによりすべては引っくり返されて、カタルシスの塊であるフィナーレへと。

 サブキャラのフォローも怠り無く、ステージ裏での円陣&ハイタッチの可愛さ楽しさなど、隅々まで心配りの効いた演出が憎いです。
 でもって、ライブシーンをブラッシュアップしてくることは予想の範囲内でしたが、まさかのマジLOVE1000%フルバージョン。
 2番の歌詞でのスタッフロールは素晴らしかったです。しかも、歌詞(パート)にきっちり合わせてのキャラクターMADになっているという周到さ。
 ……恐れ入りましてございます。

 全体を通して、作画の美麗さ、それもただ整っているわけではなく崩すところは崩し、動かすところは動かした上での美しさを保ち続けたこと。
 ベテラン脚本家をシリーズ構成&メインライターに据えて、一歩間違えばしっちゃかめっちゃかになりそうなストーリーなのに、しっかり安定感を持って進めていったこと。
 バラエティ豊かな挿入歌をはじめとする音楽の充実と、ゲームで確立したキャラはもちろんのこと、設定の薄い主人公をも感情移入しつつ愛でる存在として育てあげた声優の演技。

 とにかくひたすらハイクオリティなのに、ネタ度の高さのせいでツッコミアニメとなっていることにより、敷居の高さを感じさせない。狙ってやったのだとしたら、物凄いバランス感覚であったと思います。狙っていないのだとしても、物凄い天然バランス感覚であったと。このテンションが保てるなら、続編も期待したい……なあ。

 美麗で、笑えて、うっかり泣けたりもしたアニメ。1クール、あっという間でした。とてもとても楽しませてもらいました。
 ありがとうございます。

amazon link

うたの☆プリンスさまっ♪Debut (初回限定版 Dear Darling BOX) (今冬発売予定) 特典 ドラマCD付き
 ライブで客席に居た目立つイケメンたちは、冬に発売予定の、この新作のキャラなんだっけ?随分と存在感があって驚いた。
 新キャラを足しての二期とか、あるとしたら、キャラクターの数が半端ないことになっちゃうだろうなあ。