神様のメモ帳#12「君と僕と彼女のこと」(終)
彩夏が心に秘め、そして描いた景色。
いよいよ最終回。事件は大詰め。
鳴海が薬を飲むとか言い出した時には(そしてラリラリな描写が入った時には)どうなるかと思いましたが、すべて明らかにし、きっちりと決着。
己の心を壊しながら囮となり、また己の拳を痛めながら殴る鳴海の姿は、見ている方も、いろいろな意味でとても痛々しかった。
それは果たして報われたのか。
あの、屋上に咲く花の群れに、答えはある。
映像的にとても綺麗で、けれど、やるせない気持ちもあり。
終盤、彩夏が目覚めの徴候を見せる描写があるのが、救いでしょうか。余韻を残して美しい終わり方ではありますが、鳴海の心はもう少し救われて欲しかった。
全体を通して、ずっと暴力団絡みのエピソードばかりで、正直見ていて辛い部分もありましたが(暴力団って、フィクションでは雑魚扱いだけれど、現実には絡まれたら社会的に終わるよね、という怖さがあって、リアルに描かれても戯画的に描かれても、どうにも苦手で)あくまでも学生である鳴海視点を崩さずに、良い意味で矮小化していたのが、好印象。
作品そのものの抱える鬱屈と、そこからの解放を、「個」の目線で見つめ感情移入することに繋がっていたのではないかと思います。
愛らしい絵も魅力的でした。作画は全体に整っていて、没入感を高めてくれた。訥々としたアリスの喋りがまた印象的で。
原作はつまみ食い的に消化していたらしいけれど、二期の可能性はあるのかな。目覚めた彩夏が見たい……な。
ともあれ、楽しませてもらいました。ありがとうございます。
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TVアニメ 神様のメモ帳 オリジナルサウンドトラック
音楽が印象的な作品だったなあ。メインテーマ的に流れた曲は、これからもしばしば思い出しそう。ものがなしい、けれどどこか達観した作品世界の雰囲気を作りに一役買っていました。