銀河機攻隊 マジェスティックプリンス#24「宇宙に散る花」(終)

 マジェスティックでプリンスでザンネンな彼らを見守ってきた半年。
 ありがとう。

 終わりよければすべて良し、という言葉にはちょいと抵抗がありますが、私の場合、最終回にきっちり盛り上げてクオリティの高いものを持ってきてくれると、それだけで評価が数段増しになります。
 この最終回は、ほぼ全編戦闘でしたが、合い間にきっちりとキャラクターの感情が乗せられており、またジュリアシステムと搭乗者、アッシュの関係にもひとつの結論(むしろ結実と呼べるかもしれない)が見いだされたことにより、満足度は高く、完結した感もありました。

 つまり、真の覚醒=アッシュを乗りこなす=ヒーローとして誕生することであったのだな、と。

 イズルがヒーローにこだわる理由は、記憶のまっさらな状態での刷り込みに加え「記憶のない自分が、記憶される存在となるため」なわけですが。
 あれこれ考え併せると、すべてがしっくりと嵌まる。
 ヒーロー誕生の物語であり、彼ら自身の誕生の物語であり。

 戦争が完全に終わってはいない、ストーリーがひとつの区切りを迎えたのみ、とも取れる終わり方だったので、不満を持つ向きもありましょうが。
 二期への色気を出し過ぎることなく、しかし出来ないことはない、今の話についてはしっかりと終わらせる。ということはきちんと為されていたので、個人的にはとても満足です。
 展望が無いのにCパートで期待させるよりなんぼかいいよ!(まあそういうことする作品はほぼ原作の販促なのでしょうけれど)

 すべての問題に答えが出なくても、いいじゃない。ヒーローの誕生、目に見える形としての希望を持たせてくれたんだから、いいじゃない?

 何よりも、最後の最後まで、ブレることなく、マジェスティックでプリンスでザンネンなキャラクター達であり、作品世界でした。それが素晴らしい。
 レッド5に支配されかけたイズルが、瞳は変わらぬまま三連ツッコミにぼやくシーンとか、もううひゃうひゃ喜びましたようひゃうひゃうひゃひゃ。
 口下手なケイが頑張って説得するところも、っていうか送り出しておいてそれを言うアサギも、うん、みんな頑張った。かわいかった。
 決戦の最中に噛んじゃうおやっさんとか。パープル2メカニックのお姉さまによるニュアンス違いなケイの応援(落とすって意味が!意味が!)とか。なんつうかこう、いとおしむべき普通の人、普通の感覚と、ずっと地続きな、この持ち味。
 2クールどころか1クールでも、話の途中で人物造形がブレることの珍しくない昨今、良い意味で、とてもとても良い意味で、安心して見ていられるアニメ……人々、でした。
 制作スケジュールに余裕があったらしい(放映開始前の試写イベントに行った友人の話によると、その時点で最終話までほぼ形になっていたそうです)のも要因なのかな。構想も長かったそうだし。ベテランによる抑制のきいたシリーズ構成、脚本も、勿論。

と言いつつ、振り返ってみると、一話一話はちゃんと充実して面白く視聴できていたのに、なにやら平板さを伴って感じられることは否めません。
 ストーリー全体の抑揚が控えめであったこと、物語の核心に関わる謎は早いスパンできちんきちんと明瞭に説明し解決していったこと、キャラクターの葛藤はさらりと描かれ、起伏(ことに負の感情における)は最小限であったこと。始まりはあれだけ不穏な予感に満ちていたのに、終わってみれば、作品内での死者は(名前有りの主要人物では)チームドーベルマンの二人だけで、死亡イベントによる強制的な盛り上げも少なかったこと。
 CGによるロボット戦闘シーンの華やかさに比して、日常やストーリーそのものは、こういった要因により地味さが先に立ってしまい、内容が薄いとか、盛り上がりに欠けるとか、ぶっちゃけ面白味に欠けるという印象を抱いた人も多かろうと思います。

 しかし、今一度言いますが、とてもとても良い意味で、安心して見ていられるアニメでした。
 登場人物が、物語が、みな誠実だった。みな一途だった。
 いちど愛してしまうと、ずっと見守りたくなる、そんなキャラクター達だった。
 いちどファンになってしまうと、瑕疵は多々あれど、それすらも保護者目線で見守ってしまう、そんな作品だった。

 大好きです。大好きでした。ありがとう。
 この作品に携わったすべての人に感謝を。

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 最終回が納得のいくものだったので、安心してBDを揃えることにしようと思います。特典はショボいけどね!
 特典で買うものではない。内容で買うものだ。ということをしみじみ。いやでも内容だけならもう少しお求め安いお値段でもいいよね。とも思うわけで。ふくざつ。

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