ローゼンメイデン#2「少女のつくり方」

 実質、ここが、第一話。
 世界の分岐。「まかなかった」ジュン。
 焦燥。鬱屈。諦念。悔悟。取り戻せない時間。

 ここは己の居るべき世界ではない。
 けれどそれは、為すべきことを為さなかったために、自身で招いたもの。それを、おぼろげに知っているから、感じているから、尚更に増す焦燥。鬱屈。諦念。悔悟。

 フィクションにおいて、それなりに見かけるシチュエーションのひとつですが、個人的には『幻魔大戦』のルナ王女を思い出しました。アニメではなく、小説の『真幻魔大戦』のほう。
 啓示を受けなかったが為に、使命を知ることも見い出されることもなく、アルコール依存症に陥り、失意のままに死亡してしまったルナ王女。その役割は、妹のリア王女が代わって果たすことになる……と。読んだのは小学生の頃ですが、切なかったというか、怖かったなぁ。
 ひとつボタンを掛け違えただけで、存在価値どころか理由すら喪ってしまう。それが、怖かった。

 閑話休題

 ジュンにとっては、しかし、ここがリスタート地点なわけであります。
 流されるまま、不本意な日々を送る彼に訪れた、再度の分岐点。呈するは過去の自分(ではない自分だけれど)というあたりが、虚しい空気を一気に吹き飛ばしてくれる燃えシチュエーション。
 その手前に置かれた「少女を作りはじめる」ことの布石と合わせて、冷え冷えとしていた物語が、主人公が、しだいに体温を上げていく様子は、見ている者の体温をも上げてくれます。
 うん。ぞくぞくする。

 もうちょっとゆるく萌えな話に振り向けますと、鬱屈した男性主人公、元から好みなんですネー。好きなんですネー。しかし黒髪でメガネつきのままだったら百倍萌えていたと思うのですネー。……無念。いや充分に気に入っていますけれど。
 ジュン役の逢坂良太は「つり球」のユキの初期状態での演技もたいへん好みでした。別ベクトルの鬱屈(というか対人スキルが低かっただけか)でしたけれど、少々思い出しつつ、演技の方向性はきっちり違った形で立ててあるのが、なかなかに頼もしいな、と。
 最近ほんとうに主役級の起用が多くて、ファンが増えたり敵が増えたりしていそうですが。このジュン役も、他の役も、これからも、頑張って欲しいです。

 画面の美しさ、作画・演出の切れ味もとても好み。
 面白い。面白かった。この先も面白そう。事前に思った以上に、とても楽しめそうです。

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