宇宙兄弟#39「月の錯覚」

 六太の入社式と、日々人のピンチと。
 時にシンクロし、時に対照となる。ままならない兄弟なのであります。

 入社式は、茄子田の訓戒が、なかなかに聞きどころでした。途中で豹変する声に、思わずどっきり。ずるい。これは、格好良い。
 支えあうのではなく、支えられている。支えている。それが「人」というもの。なかなかに含蓄のある話でありました。

 そんないい話で始まっても、座学は眠いよとか、ちゃんと現実と地続きの(そしてとても小市民的な)感性にすぐにオチていくのがたいへんよろしいです。
 理想を追いかけつつ、机上の空論ではなく、実際に手を伸ばして届く、届かせるために手を伸ばす、そのへんがおそらく大人世代にも人気の出ている理由なのでしょう。
 JAXAの、いわゆる普通の企業っぽいところが描写されると、見ていて安心しちゃうからなあ。

 一方でNASA月面基地、日々人の方は、もう夢を具現化しているわけで、こっちはこっちで見ていて別種の快感がありますし。そのへん、ダブルプロットの旨味がしっかりと出ていて、美味しゅうございます。

 しかし、ここで引くのか。またまた随分とゆっくりだな、ほんとに。と思ってしまうのは、やっぱり原作を読んで先の展開を知っているからだろうな。
 この事件をクライマックスにもってきて、4クールで終わっちゃう……んだろうか。
 もっともっと続けて欲しいです。このペースで進めば、原作もまだ使い切らずにあと半年・一年はやれるはずだし。
 原作の今の展開を、次のクライマックスに持ってきてくれれば……という妄想。願望。

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 で、実写映画版は、そんなの全部すっ飛ばして、原作よりも先の時間軸までオリジナルでやっちゃったわけですが。
 閉鎖空間での試験中に日々人の事故が、とか、そんなペースでした。尺的にしょうがないんだけど、しかし、うーん。やっぱりアニメ版がいいですよアニメ版が。
 っていうかこれ、アニメ版の第一話を収録してるとか、なにそれ面白い試み。