映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

 Q。見てきました。

 ネタバレなしで語るのがたいへん難しい作品ではありますが、公開したばかりだし、とりあえずの所感とか、そういった方向で。
 内容についてのバレはほぼ無いように書きます。
 が、少しでも先入観を抱きたくない方は、読まないことをおすすめします。

 初日の初回上映を見てまいりました。
 ネットでネタバレを見てしまうのがいやだったのと、「序」も「破」も初日の初回を見ていたので、まあ、自分内の伝統を守ったのと。

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [Blu-ray]
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]

 無事にネタバレは回避して、事前情報はほぼゼロ。
 前日の金曜ロードショーでの冒頭部分も未視聴。だって10時間後に見るんだもの、と。
 まっさらで見てきたわけですが。

 ……いやあ、びっくりした。
 ほんと、びっくりした。

 文字通りの「Q」、疑問だらけでしたよ最初の方。
 それでもまあ、ある程度の推測をして、もしかしたら、そういうことなのか……と察すれば察するほど、沸き上がるシンジへの同情というか、同情なんてなまぬるいもんじゃない、もういたたまれないくらいの痛ましさ。

 それは、中盤になって、シンジとともに世界の有り様を知った時、頂点に達し。

 なんつーか、いくらなんでもそりゃないだろう、という理不尽さに憤る気持ちと。
 ああ、そういえば、これがエヴァ(ヱヴァではなく)だったのな、と思い至った時の、メタな意味での絶望感と。

 っていうか先週「序」、前日「破」を見ていった人なんて、どんな気持ちになったでしょうね。私は特にリピートはせずに行ったので、大きな「エヴァ」というくくりで考えられましたけれども、うん。

 ひとつ思ったのは、この「Q」が本来は完結編となる四作目と一緒に公開されるはずであったことと、この辛さとは、決して無関係ではないのだろうな、ということ。
 最後まで全部見せてくれるのであれば、それが例えどんな結末であろうとも、なにがしかの納得を得て、カタルシスを得て、映画館を出ることが出来ただろうと思うのに、盛り上がり(という素直な言葉を使うのは躊躇われるクライマックスでしたが)の途中でぶった切られるのは、ほんとつらい。しんどい。

 わたくし「序」も「破」も繰り返し見に行ったんですが、この「Q」はちょっと、リピートする気になれません。

 理由として、おおきなものが、ふたつ。

 ひとつは、私が、十五年来のシンジ好きであること。
 ゆえに、この作品を、この話を、繰り返し自分に刷り込むのがつらい。実際、見ていてずっと、冷たい手に心臓を掴まれているような感じで、誇張抜きで具合が悪くなりかけたり。

 アクションシーンや映像の仕掛けは見事ではあったものの、爽快感のある戦闘シーンは皆無であったこと。
 序や破の使徒殲滅戦のように、愉しみを得るために幾度も見たくなるようなものではなかった。

 ……と、ここまで、なんだか叩いているようですが、誤解なきように申し上げておきたいのは。
 面白いことは、物凄く面白かったですよ、「Q」は。

 これはいったいどうなっているのか、ここでどう来るのか、そう来るのか!
 この人はどう動く、あの人の動静は、物語の進む先はいったい!
 既存の「エヴァ」よりも「ヱヴァ」よりも、ずんずん先へと進んでいく。物語のサスペンスは、とてもクオリティの高いものでした。

 戦闘シーンも、タッグを組んでのものが多く、状況を抜きにすればキャラのファンにとっては楽しいものでしたし、キャラに燃えたり萌えたりするシーンもたくさん。
 カヲル無双の中盤は、言うに及ばず。ピアノはいいね、ピアノは。
 美しいシーン、美しい音楽。堪能いたしました。

 しかし、だからこそ、最後までカタルシスは与えられず、謎と悲劇をばらまいて終わってしまったこと(これはシンジ視点からであって、他のキャラは意見を異にするであろうとは思います)が、本当にしんどかった。

 ああ、うん、ええと、まあ。

 とりあえず私のスタンスとしては、安易に結論は出さずに、座して完結編を待ちます。という感じです。

 個人的な望みを、あえて言うならば。
 シンジを幸せにしてやって下さい。それだけを、願っています。

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