映画『アシュラ』

 なかなか見に行くタイミングがつかめず、遅くなってしまいましたが。買っておいた前売券があると、思い立った平日の夜に行く気になれるのはいいな。

 映画『アシュラ』公式ページ

 原作未読です。カニバリズムやら発禁やら、噂程度には知っている程度。一応、ある程度の覚悟をして見に行きました。

 小さいスクリーン、観客はまばら。六十代くらいの夫婦連れとか、単身でも年齢高めの人が多く、原作を知っている世代なんだろうなあと。

 実は、全編3Dだということをけっこう直前まで知らなくて(映画館でのCMで「あれっ?」と思ったくらい)2Dアニメ大好きなわたくしとしては期待値低めで見に行ったんですが、なかなか映像の見ごたえはありました。
 とは言うものの、やはり若干の軽さはあって、特に序盤のうちは「ああ、ゲームのキャラが動いてるなー」という印象が否めなかったりしましたが。話に入り込んでいくうちに、さほど気にならなくなりました。
 人物がアップで会話を交わしているようなシーンはだいぶ微妙。けれど、アクションシーンになると途端に切れ味が増して、その落差も面白かったり。

 物語は、原作と比してわりとシンプルにまとめられているようで、全体にストレートなものでした。
 もう少し掘り下げが欲しいかなぁと思う箇所もありましたが(母親が冒頭しか出てこないのは片手落ちのような)素直に見て、時にぎょっとして。鑑賞中、自分自身の感情の起伏に驚いたりして。
 そして、ベテランを贅沢に配したキャストのおかげで、シナリオの説得力が数倍、数十倍にも増していた気がします。
 パンフレットを読んでなるほどと思ったのは、監督としては、既存キャラクターのイメージをも内包した「役者の個」を求めた、というあたり。

 ぶっちゃけアシュラ@野沢雅子が戦いの最中に唸ったりした時には、あれを思い出さずにはいられなかったわけですが、それも込みで見てくださいってことなのね。
 キムタクがやっている役はすべて「キムタクフィルター」がかかるのと同じようなこと?

 気軽に楽しめる作品ではないし、ラストは明らかに蛇足になってしまっているし。話運びといい3D処理といい、決して最上級、最高級の大傑作と呼ばれる映画ではないと思いますが、見終わって、忘れられないシーンがいくつもありました。
 最も印象に残ったのは、やはり、終盤の雪のシーン。思わず息を呑む、美しさと哀切さ。

 諸手を上げておすすめ、素晴らしい!みんな見て!と言うことは出来ないけれど、うん、私は、見て良かったな。君も、気が向いたら見ればいいよ。でも、無理に見るのではなく、出逢うべき時に見ればいいよ。
 そんな映画でした。

 パンフレットは800円。横型は嫌いなんだけどなー。内容はそれなり、監督のロングインタビューが読み応えありました。
 キャストのインタビューも、もっと濃く、長く、読みたかったところ。

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アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
アシュラ (下) (幻冬舎文庫 (し-20-3))
 原作のアシュラ、不気味さが全然違うや。映画のアシュラは正直かわいくてかわいくてしょうがありませんでしたよ女性が見たら特にかわいくてけなげで泣けちゃいますよって言われてて、何となく分かった。いや泣かなかったけれど。ぐっと来ましたぐっと。

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