映画『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』

 待望の、と言うには若干待たされすぎ感がありますが。
 映画版第一弾、見て来ました。
 ネタバレ無しの感想を。

 パンフレットは通常版と限定版があり、通常版800円、限定版2500円だっけかな。相変わらずの酷い商売であります。

 とりあえず通常版を買ってみたのですが、内容の薄いこと薄いこと。普通なら600円パンフレベル。
 来場者特典のヒーローカードは安定の牛角さん。ええ。わかっておりましたとも。

 と、まあ、搾取商法にはイラッ☆とさせられますが、そんなので汚しちゃうのがもったいないくらい、映画本編は良い出来でした!
 ことに、初期のポイント争奪戦や、ヒーロー達がライバルとして競い合う様子、バディのツンケンした会話の軽妙なノリ。そのへんが大好きだった人。
 あるいは、TVシリーズ終盤の、HERO TVどこ行った状態や、主人公コンビ以外の扱いの適当さ、ウェットすぎるドラマに萎えた人。
 貴方の(私も)見たかったタイバニが、ここにあるよ!

 内容は、第一話と第二話の再構成+新作エピソード。時系列的に、第三話の前で終わっています。

 TVシリーズ流用のカット+新作という、総集編でも完全新作でもない微妙な立ち位置ですが、元来この作品は映画的な音響やカット割りや演出を多用していたので、さほど違和感はありません。
 しかも、第一話・第二話の部分も、単なる再編集のみならず、新作カットを継ぎ足して、TV放映時の疑問や不満、物足りなさ、ツッコミどころに応えまくっていたりします。

 楽しみを奪わない程度に例をあげてみますと、第一話で虎徹がレールの上に現れるまでのプロセスとか、第二話の事件での他のヒーロー達の行動とか(コミック版で若干フォローされていたもの+α)、その他いろいろ。
 カットされた部分もそれなりにありますが、新規シーンのおいしさがそれ以上なので、さほど気になりませんでした。

 特にいいなあと思ったのが、虎徹の、妻が遺した言葉や娘への愛情、バーナビーの、親と子が死に別れることに特別な感情を抱いている様が、初期からちゃんと描写されていること。TVシリーズ序盤では意味もなく伏せられていた主人公ふたりのバックボーンが、早めにきっちりと呈示されたことにより、キャラクターとしての安定感が増し、バーナビーとの対照性も際立ち、物語の明快さが大きく増しています。

 でもって、個人的には、楓の描写に手が入れられたことにより、苦手さが減じたのがだいぶ嬉しかった。TVシリーズのむやみやたらに父親への当たりがキツいのは、リアルっちゃリアルでしたけれど、見ていて苛々させられましたから。そのへん、だいぶ払拭されています。

 新作パートの部分も、各ヒーローにきっちりと出番を割り振りつつ、会話なりアクションなりで絡ませつつ、主役コンビはしっかりと主役していて、実に楽しゅうございました。
 ヒーロー達全員にそれぞれ見せ場(いろんな意味での)があり、対決にしても、事件解決への道筋にしても、わくわく感がしっかりたっぷり。
 バーナビーの活躍シーンが多めなのも良い感じです。普通に格好よいキメシーンがバリバリ。包容力(!?)を見せるシーンもあり。
 虎徹は一歩引いたポジションから、お約束のずっこけやら空回りやらもあって、むしろ初期のファンが望んでいた通り。
 ゆえに、これもTVシリーズでさんざん取り沙汰されていた、虎徹ばかりageられてバニーちゃんがかわいそう!という方にも、ご満足いただけるのではないかと……ええ。
 総じて、バディのバランスが、より良くなっていると思います。

 敵役の掘り下げがあまり無いことと、舞台は大掛かりなれど事件そのものは酷い凶悪犯罪というわけでもないので、小粒感は否めないことで、若干の物足りなさを感じなくもないんですが(それと盗品への各人の思い入れについてもう少し触れて欲しかった)そのへんはまあ欲張りかな。
 とにかく90分、派手なアクションと会話のやりとり、ヒーローの有り様とシュテルンビルトという異世界。それらの魅力を存分に楽しめる、良作品でありました。

 ほんとに、私にとってこれは「見たかったタイバニ」。
 心から、言いたい。作ってくれて、ありがとう。そして、ありがとうと。

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G・E・Mシリーズ TIGER&BUNNY 鏑木・T・虎徹
 雑駁で殿様商売すぎる商品展開には少々うんざりしているのですが、予約していたこれは買いました。G・E・Mシリーズの虎徹フィギュア。
 フィギュアーツZEROも買ったのですけれど、比べるとクオリティの高さは段違い。ふつうに格好良いです。
 顔に違和感がある、という人もいますが、元々作画監督によって絵柄にばらつきはあるし、桂絵もまた違うものだし、特に「コレジャナイ!」とかは思いませんでした。好みの問題はありましょうけれど。
 予約開始時には瞬殺でしたが、いまAmazonで見てみると、ぐぐっと値下がりしていますので……気になっていた人は、チェックしてみるとよいかもですよ。
 しかしいまひとつフィギュア映えしないよなぁ男性キャラってやっぱり。ファサァっとしたロングヘアとか、ボンキュッボンとか、そういう見どころがないからなぁ。しょうがないんだけど!

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