夏雪ランデブー#8

 てのひら六花ちゃんに萌えている場合じゃないぞ葉月くん。
 これまではメルヘンチックだなぁという印象が強かった、葉月の迷い込んだ精神世界の描写が、より幻想的なものとなり、演出の妙に見とれると同時に、かきたてられる不安感が苦くも刺激的。
一見穏やかな世界に見えて、実は、一歩踏み外せば底なしの深淵に落ちていくような、そんな感じの。

 話の流れは緩やかながら、現状、のっぴきならぬ事態に陥る可能性があることを示唆する箇所が多く、相変わらずの丁寧な描写とあいまって、見ていて強く引き込まれます。
 過去の回想、葉月と親指姫六花の会話、といった、現実の時間軸を進めないシーンが多いので、若干話に停滞感はありましたが。
 ここに至って、六花が動き出したこと、キーアイテムの最たるものであろう「夏雪草」が前面に出てきたこと等、気になる動きも多々あります。

 それにしても、話の中心に居る六花、事象の現況である島尾、物語を起動する鍵となった葉月、と、ありがちじゃない三角関係というだけじゃなく、ありがちじゃない三角の人物配置が面白い。バランスとアンバランスの狭間というか、常に危うさが漂っているのがまた、魅力的。
 それと、全員が、他のふたりに、ひいては世界に、除け者されている構造なんですよね。
 葉月は島尾と六花の夫婦、そして現実世界から。六花は葉月と島尾の奇妙な関係、そして葉月の精神世界から。島尾は葉月と六花の誕生しつつあるカップル、そして生者の世界から。

 誰もがひとしく淋しく、誰もがひとしく繋がっている。
 濃厚でありながら淡白、という印象は、このへんから来ているのかもしれません。

 ともあれ、三者三様に動き出し、どう転がっていくか、次の瞬間どんな展開をするか、予想のつかない状況に。
 毎回、楽しんで見ております。原作未読のアドバンテージでもあります。
 アニメが終わってから読んでみよう。と思いつつ。

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関根くんの恋(1) (エフコミックス)
 原作者の作品では、これも気になっている一作。何が気になるってすごくいいメガネじゃないですかっていう。黒髪メガネは正義。とても正義。じゃなくて、これまた無器用そうな恋愛もの。
 しかしこのレーベルのコミックス一冊1000円が基本ってのは何とかならんもんかしら。いや大判で見ることが出来るのは嬉しいけれど、気軽に手を出しにくいのも確か。

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