「Robotics;Notes」プレイ感想

 秋からノイタミナでアニメ化ということで、いちおうアニメ関連の雑談扱いとして、感想を。
 別ブログで書いたものを、若干改稿しました。かなりの長文です。

 全体の印象、長所と短所、世間での評判についてと、キャラクター語り、ストーリー・システムについての感想。
 クリティカルなストーリーのバレはありませんが、後半部分、微妙に内容に踏み込んでいる箇所があります。ご注意ください。

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 科学ADVシリーズ。
 わたくし元から(CHAOS;HEADから)このシリーズのファンでして、Amazonにてさっさと予約。発売日に届いておりました。

 クリア時間は40時間。放置時間込みなので、実質、37時間くらい?フラウルートのフラグを立て忘れて、しばし悩んだぶん、普通より長めかも。

 事前情報で、やたらと酷評されていたので、どんなもんかと恐る恐るプレイしました。
 で。聞いたとおり、ううむと首を傾げてしまう箇所と、「いや、ちょっと話盛りすぎだったんじゃね?」と思う箇所とがありましたが、個人的にはADVとして見て普通に良作だと思います。欠点は多々ありますが、見るべき部分、愛すべき部分も沢山ありました。
 万人におすすめ!と言ってまわることは出来かねますが、私としては、じゅうぶん、好きなゲームと呼べる存在に。

 というか、必要以上に貶められている感があって、気の毒。
 シュタゲブレイク時のカオヘのdisられを思い出した、ということも、わりと同情的に見る要因になっているかもしれません。ロボノを酷評する人は「シリーズ前作のシュタゲでは」「シュタゲと比べて」が合言葉だもんな……カオヘどこいったよ。オイ。

 私は、シュタゲよりカオヘを愛する人間なので(全てにおいて、完成度の高さはシュタゲの方が上だと認めた上で、「好き」なのはカオヘのほうなのです)カオヘとシュタゲがシリーズといいながらまるで違う作品であったことを踏まえていたがゆえ、ロボノもまた「シュタゲの続編」としてではなく、「科学ADVシリーズの中の単体の作品」として見ることが出来た、という可能性があるかも。
 バックグラウンドの陰謀論やら不親切なシステムやらにも(これらは決して褒められる要因ではないことは確かですが)耐性があったし、前作キャラの扱いも面白がることが出来ました。

 思ったのですが、この作品、見た目はとっつきやすそう&シュタゲでユーザーの裾野が広がっていたのに、楽しむことが出来るどうかが、ユーザー自身の環境や性格に関わってくる分岐点がいくつもあったことが、現状の厳しい評価に繋がっているのかもしれません。

 Twitterを日常的に使っているか。
 2ch(@ちゃん)語への抵抗感の有無。
 繰り返されるロボットアニメ小ネタの知識。
 シリーズ作品を二作ともプレイしているか否か。
 ロボット、あるいはロケットに、浪漫を感じられるか。
 勝ち負けに特化した対戦格闘ゲームをプレイをしたことがあるか。

 私は、最後のもの以外、すべてクリアしているので。
 しかし、こんなにも「ユーザーを選ぶ」ゲームになってしまったことについては、非難は甘んじて受けるべき。かも。

 付け加えて、個人的には「叙述トリックの技法を知っているかどうか」も挙げたい。
 ストーリー面ではなく、海翔のキャラクターの立て方に関わる問題として。

 海翔ってどうも視点となっている時の地の文章でかなり韜晦している感があるので、それに気付いて、内弁慶ならぬ内面ツンという特性と受け止め、鷹揚な気持ちで見守ってあげられるかどうか。
 実際、行動や台詞だけを抜き出してみると、決して悪い子じゃない。要所では誠実な姿勢を見せているし、自堕落なようでいて、意外にマメだったり、自己犠牲精神もある。
 自分を常に斜に構えて見ている、損な性分の子なんだ……と、脳内補完が働いた瞬間から、だいぶ好きになれました。

 ついでに、他のキャラについても。

 海翔と並んで、いろいろ言われるあき穂。ご多分にもれず、だいぶ苦手でした。
 金銭に対する認識の甘さ(高校生らしいっちゃらしいんですが)や、他人の都合に斟酌しないこと(淳和のトイレ妨害とかどうかと)等が、やはり鼻につき。
 さらに、基本的に前向き猪突猛進キャラで、ヘコむ場面が前半には殆ど無い。ゆえに、可愛げを見せるシーンが少ない、という。
 しかし面白いのは、これらの要素は、海翔の、醒めたテンションの内面視点で生暖かく見守ると、だいたい払拭できるものなんですね。良い構造なんですが、それゆえに、海翔フィルタを通さないあき穂視点のシーンでは、身勝手な印象が余計に際立ってしまったような気がします。

 淳和は、ヘタレっぷりと涙目とフラウにもてあそばれる様が素敵でした。ただ、ストーリーの根幹に関わる部分が少なすぎて、もったいない。与えられた設定と属性からして、もっともっと膨らませることが出来るキャラだったはず。都市伝説好きという設定は、ギャップがあって物語にも関われて、なかなかいいと思うんですが、個別エピソードでほぼ生かされなかったのが残念。

 アイリは、くぎゅの声が可愛すぎ&キャラクター設定的に3Dモデリングが一番しっくりはまっていて、普通に見た目から可愛いと思える娘さんでした。ゲジ姉との落差で二度美味しい。思わずアップにして舐めるように見てしまったり。へ、へへへ変態ちゃうわ!個別エピソードも、子ども枠ながら唯一糖度のあるもので、おいしゅうございましたご馳走様でしたカイやさしい。

 フラウかわいいよフラウすてきだよフラウ。まるでbotの如く2ch(@ちゃん)語の定型文でしか話さない(全台詞の七〜八割がネットスラング)、たまに違うことを喋ったと思えば腐女子脳全開。だがそれがいい。生きることに無器用そうなところ、しんどい過去にしんどいイベントを背負いつつ今ある自分を崩さないところ。実に科学ADVシリーズらしいヒロインで、たいへん魅力的でした。願わくば、いつの日にかタクさんとの共演を是非。

 昴はすばらしかったです大好きです。かなりツボ直撃ヒットなキャラで、登場シーンでは終始ニマニマしておりました。メガネ、秀才、生意気後輩、嫌味&正論吐き。あげくにネタ属性の弱点保有、女子に弱くて動揺すると噛み噛み萌えキャラ化。しかし心の奥では真摯にロボットを愛するけっこうな熱血キャラだったりするって、どんだけ盛る気よちょっと素晴らしすぎるンですけど!?どのキャラと絡んでも楽しすぎて、ほんと良キャラでした。っていうか昴ルートはよ。はよ。

 ロボ部の面々が会話したりぐだぐだしたりと絡んでいるシーンは、だいたいにおいて見ていてとても楽しかったです(ことにフラウか昴が居ると最高)。
 キャラが薄いとか、好きになれないとかよく言われていますが、個人的には全然そんな風には感じませんでした。そりゃカオヘのギガロマガールズやシュタゲのラボメンに比べたら、壊れっぷりや変人っぷりの度合いでは全然かないませんが、キャラの濃淡って別にそれだけじゃないでしょう。
 ちゃんと「ものを考えて」「自律した意志を持って」いることは感じられたし、それぞれに愛着も持てましたよ。

 その他のサブキャラについても、中盤から終盤にかけて反則的に好感度の増す人物が多く、全体にいい雰囲気でした。
 特筆すべきは、ほぼ全員に、きちんと「家族」が出てきた点。
 カオヘ・シュタゲでは、あれだけの事件に巻き込まれているのに、親の存在感は、ほぼありませんでした。それはそれでひとつの選択ですが、個人的にはやっぱり親や教師といった年長者も配してくれるほうが好みだし、誠実さを感じます。
 以前から何度か書いている通り、良質のジュヴナイルには、尊敬できる年長者の配置が絶対に必要。そういう意味で、最初から最後まで素晴らしかった八汐父には、名バイプレーヤー賞を捧げたい。

 ……あー、そうか。ロボノは「ジュヴナイル」の系譜なんだな。前二作はもっとアングラというか、ラノベの文法により近かった(親の排除はラノベの常道)。
 そこが、決定的な違いなのかもしれない。

 閑話休題

 物語中のサブキャラの扱いについては、おおむね満足ですが、ラストのあの展開に持って行くためには、描写の絶対量が足りなかったよなあ。とは思います。もっと丁寧に、細々と描写していてくれたなら、熱さが全然違っただろうに。もったいない。

 ストーリーについて。
 序盤は展開の遅さに苛立ちもしましたが、中盤以降、サスペンス要素が増してからは、ぐぐっと引き込まれていきました。淳和ルートあたりでキャラクター達への愛着がぐぐぐっと増して、フラウルートあたりからはもうノンストップ。アイリルートではさらに真相に近づき、テンションが高まる高まる。
 極めつけは、あのイベント。やっぱりこう、居心地の良かった場所が奪われる展開というのは、実に心が痛く、同時に胸躍ります。

 ラストに向けての展開は、なんだか異様に青春していて、盛り上がっていて、若干気恥ずかしいくらいで。
 ちょっと連想したのは「真夜中に書いたラブレター」。テンションが高まった時に一気書きした、そのまま……のような。個人的には好みの展開ではあったし、燃えましたが、それでも……それゆえに、もう少し伏線があればなあ、と。勿体無い感じも。
 あと、これは世間の評価に完全同意なのですが、余韻が足らないこと、細かい伏線を拾いきっていないことについては、画竜点睛を欠いた印象は否めません。魅力的な要素は沢山あったのに、すべてを生かし切ったとは、到底思えない。
 とは言っても、大筋は決着しているので、きちんと完結した感、着地した感はあるし、あしざまに言う程ではないと思います。

 でも、まあ、やっぱり。各キャラクターのその後については、もっと語って欲しかった。語るべきキャラが、たくさん居た。
 何よりも、最後にもう一回、ツイぽ、開きたかった……よ……。

 システムは、さんざん言われていますが、個別ルートの存在意義が薄すぎるのはやっぱり問題。ストーリーは実質一本道であり、まったく意味の無い分岐になっているってのは、致命的。
 っていうかこれ、勝手な推測ですが、ヒロイン個別のストーリーを組む構想もあったんじゃないのかなあ。それぞれ微妙に異なる世界観、異なる武器(淳和は都市伝説の知識と空手、フラウはプログラミングやネット知識、アイリはARを自在に動ける存在であること)でもって、戦うことが出来そうなキャラ達だし。そのへん、PC版カオヘを彷彿とさせます。
 ポケコンシステムは、大半のメニューが単なる飾りであること、ツイぽチェックが面倒であること(「居る夫。」以上に見に行く回数が頻繁なはずなのに初期カーソルが「居る夫。」固定なのは何故)等々、もう少しブラッシュアップして欲しかったなあ、というのが正直な気持ち。任意でWEBを見たり(Taboo!トップニュースだけ、とかでいいから。で、見たニュースのハッシュタグを、ツイぽで追いかけていく、という流れを作れば良かったのでは)メールを見たり(過去に受信したメールを閲覧出来るだけでも凄く雰囲気が出た筈)、あと何よりも、キルバラのプレイを可能にするべきだったんじゃないでしょうか!ミニゲームとしてさー。絶対、それは、必要だった。

 ツイぽ返信による分岐については、これもさんざん言われている通り、もっと親切にして欲しかったです。というか、通常プレイ画面の端っこに、常にタイムラインが流れていたりしたら、最高だったのに。
 私は普段からTwitter中毒なので、ツイぽという要素そのものは楽しめました。しかし、TLチェックの一発ボタンがなく、毎回ポケコン起動というワンクッションがあることが、カオヘでの直接トリガーを「引く」操作や、シュタゲでのリアルと同じく手に馴染んだ感のある「携帯電話を取り出す」操作に比べると、やはり大きく劣化してしまっていたと思います。

 他に気になったのは、クイックセーブの代わりの日付システム。プレイ中、さっと戻るには便利でしたが、あとになって見ても、どの日付がどの場面なのか、いつ、どのフラグを立てたプレイのデータが格納されているのか、全然分からないのが困りもの。
 コントローラのボタン設定も使い勝手がいまひとつ。初期状態でRBが強制スキップとか、まず確実に間違って押します本当にありがとうございました。Xボタンでのメニュー開閉とYボタンでのポケコン起動も、若干紛らわしかった。全体に操作感覚は今ひとつで、残念でした。

 とまあ、だらだらと書いてきましたが。

 総合的に見て、やっぱり、「好きになれるゲーム」ではあります。キャラクターで言うと、フラウと昴の破壊力はほんと凄かったし。瑕疵がたくさんあるあたりも、個人的には、ある種のチャームポイントに感じられてしまう。判官贔屓も、若干……いやかなり入っています。
 特別に格別に好きになってしまう「わが心のゲーム」ではないですが、普通にそれなりに好きになった「面白かったゲーム」というポジション。

 現在のネット界隈での悪評がほんと気の毒で、だいぶ肩入れしてしまいましたが。
 とりあえず、プレイして楽しかった。プレイして良かったと思っています。

 そして、アニメは素直に楽しみでありますよ。

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ルートダブル Before Crime After Days(限定版)
 関係ないですが、ロボノの前座として買ったこのゲームにものすごい勢いでハマってしまって、プレイ開始が遅れたのでした。
 こちらもアドベンチャーゲームXbox360のみで発売。ただし、9月にPC版の発売予定があります。いやこれは本気で面白かった……うん。おすすめです。
 

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