輪るピングドラム#24「愛してる」(終)
ピングドラムの行く末が、すなわち物語の行く末であると。
言い方を変えるならば、運命の林檎を(あるいは苹果を)如何様に分け合うかが、すなわち彼らの行く末であると。
最終回。最終。最後というより、最期と呼ぶほうが似つかわしいような。
キャラクター達の命、というより、やはり、運命の。
この作品に対する、辻真先先生のツイートが面白うございました。
わかるが面白くない作品よりわからなくても面白い作品がいい、と主張してきた身としては、『ピンドラ』はもはやわからないから面白い境地に達したと認定する。
正しくこの通り。
ただし「わからなくても面白い」の域に至ることの出来る創作物というものが稀有なので、時に出逢ってしまった時に、戸惑わずには居られないのです。
実のところ「わからなくても面白い」より「わかるが面白くない」の方が処しやすいですよね。面白くなければ、ただ、離れれば良いもの。
それすら赦さないあたり、しんどい作品でした。
ええ。ぶっちゃけ、この最終回、ぽかーん状態で見ていました。観念的な映像の羅列を、ああ、綺麗だな、と眺めている。それだけ。
見ていて唯一、私の感情が動いたのは、苹果が乗り換えの言葉を口にしたところ。
物語の序盤ではあんなに鬱陶しく感じていた苹果というキャラクターが、ここに来て、愛しくてたまらなかった。
おそらくは、この最終回において唯一、視聴している者が感情を乗せることの出来る存在だったから、なのでしょうね。
ゆり、多蕗、真砂子。そのあたりも、同じく。
主人公である高倉家の三人、ことに冠葉と晶馬は、あまりにも遠い場所へ行ってしまったので。
いつか、星を見上げるように、思い出すことでしょう。
彼らと、彼らの物語を。
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最後になぜかエスメラルダを。エスメラルダも、出てきた当初は、物凄く鬱陶しく感じていたものですが、いつしか可愛くてしょーがなく見えるようになっていました。ああ不思議。不思議。
実際に傍に居る存在としては、エスメラルダが一番良いかもしれません。思いをちゃんと共有してくれそうで。