TIGER & BUNNY#25「Eternal Immortality. (永久不滅)」(終)

 初回はライブビューイングイベントで見ました。
 そのせいでだいぶ補正上げがあるかもしれません。大画面で見たことと、映画館で一体になって盛り上がりを味わったことにより、アドレナリンの分泌量が大幅増大していた気がするので。

 ともあれ最終回。
 私の場合、初回からしばらくはMXで視聴していたので(後半になって我慢できずにUST視聴するようになった)MXでの最終回はほんとに「最終回」だなあ、と感慨に浸ってしまう。一抹の淋しさも、感じてしまう。

 しかしそんな淋しさを吹き飛ばしてくれたAパートのアクション、最高でした。これまで最高だった7話を越える出来栄え。しかもほぼ全員ぶん、動きまくるしエフェクト演出格好良いしで、堪能しまくり。でもって、耐え忍んだ後の斎藤さんによるH-01の停止も、先週伏線があったので、やっと来た来たという感じで、絶妙のタイミングでした。斎藤さんまじ有能。まじフェアリー。
 マーベリックとロトワングの結末は、収まるべきところに収まったというか、結局ロトワングは研究バカで、利用されただけだったんだなあという。
 NEXT差別主義者でさえなければ、あれほど歪むことも無かったんじゃないかと思うと、若干のやりきれなさがあります。NEXTを憎むがゆえに、ロボットの高性能化→NEXTを越えること、に執着したという面がありそうで。公正であれば、あんな末路を迎えることも無かったのに、と。

 しつこく足掻き続けるマーベリックでCM入り。
 そして……最終回で最もカタルシスがあったのは、アニエスの登場ではないでしょうか。実際これ、映画館の大画面でヘリが飛んでる中継シーンを見た時の気持ち良さったら半端なかったです。
 ぶっちゃけマーベリックの動きについては、けっこうぐだっている(位置関係や移動が若干理に合わない)んですが、すべてこれで許せる気持ちになる素晴らしさ。
 これまでのゲストキャラがみな中継を見ているシーンを挟み込むのも、ベッタベタなんだけど燃えますですよ。子どもキャラは微妙に成長しているのが、またなんとも感慨が深いです。

 そして、ワイルドタイガー復活。
 虎徹については、前回があんな引きで終わって、いや死ぬわけないでしょと思いつつ、だったらどういう風に復活させるのか、活躍させるのか、といろいろ考えていたのですが、あらあらご覧のありさまだよ!
 いや、とてもこの作品らしい、完全にノリ最重要視。きらいじゃないですよ。というか、盛り上がりましたです、ハイ。
 おそらく、中継映像の中で立ち上がるという仕掛け。あれが効いている。視聴者と、作品内での(シュテルンビルトの)視聴者とが、リンクした演出になるように、意識して作られているわけですよ。そらもう、燃えるのなんの。先ほどの、ゲストキャラが中継を見ているシーンが刷り込まれているのも、おそらく見る者の無意識下で効いてるんじゃないかと思います。計算してのものか、天然のものか。いずれにせよ、素晴らしい。

 意味ありげな台詞を残して、自らの記憶を消し去ってしまったマーベリック。結局、バーナビーが己の手でマーベリックに手を下す(たとえ一発殴るくらいでも)ことは無かった。
 やるせない決着に見えますが、しかし、復讐心による鉄槌を下すことなく事が終わったというのは、実はこだわって作られた部分なのかもしれません。
 あえて果たさないことにより、復讐が終わりを告げる……そんな物語も、良いんじゃないでしょうか。ね。
 虎徹の引退と同時に自分も引退する、と表明したのも、復讐から解き放たれたことの象徴であり、マーベリックに操られていた人生からの脱却でもある、と。

 で、結果として汚れ役を引き受けてしまうルナティックがまた、魅力的でもありました。最近、OPのユーリ登場シーンを見るだけで、なにやらじんわり来るですよ。やばいですよ。キャラ萌えとかそういう次元とは隔たったところで、何かを感じずにはいられない。

 ともあれ、事件が一段落し、時は流れ。
 1クールEDだった「星のすみか」が流れ始めてからの一連の流れの美しさは、今まで若干抱いていた不満や鬱憤(ことに22話から24話Aパートまでの……)を、すべて吹き飛ばしてくれるものでした。
 ヒーローそれぞれの描写が、とても「らしく」て、ひたすら微笑ましくて。
 第1話をなぞるようにHERO TVが始まった時には、楽しすぎてどうしようかと思った。そして、決め台詞を言い終えた瞬間のブルーローズの表情の素晴らしいこと。

 最終的に虎徹の出した結論については、思い入れが深すぎてあまりうまく語れないのですが……。
 かっこいいと言って欲しかった虎徹が、かっこわるくてもいい、という心境に至る。みっともなくしがみついてでも、最後まで貫き通す。
 それが、何より格好良い。

 個人的には、自分の限界を自分で決めることはしない、という言葉が、ことに沁みました。15話のサブタイトル「The sky's the limit... (限界は空高くに…)」を思い出したりして。あの話も、スカイハイが、自分で自分を狭めてしまっていることに気づくことが主題でした。
 年を取っても、衰えても、(何よりも辛いことに)それに気がついてしまっても、自分で自分を型に押し込めることはない。
 中年へのメッセージとしてもストレートに響くけれど、老若男女誰にでも通じる、普遍的なメッセージでもあります。大好きです。

 シメに当然のように「オリオンをなぞる」が流れるのも見事でした。最後の最後まで、期待を裏切らない、というか期待に斜め上に応えてくれる作品であったなあ。

 二期というか続編制作の可能性は……どうなんでしょうね。これだけのヒットだし、あえて残したと思われる伏線も多数あるしで(洋画的な余韻を持たせただけという可能性もありますが)、当然期待してしまうわけですが、メインスタッフが残留してくれないことには、この絶妙な雰囲気は出せそうにないし、続投が叶ったとしても、時代や人の変化によって、同じ空気を作れるかどうか難しいし。
 私の場合、アニメにおいて続編やリニューアル作品で良い思いをしたことがないので、不安ばかり募ります。
 が、可能性を残してくれたことは、「終わらない」という希望がいつまでも残ることでもあるし。
 それこそ、限界を勝手に決めずとも良し。

 ただ、確信を持って言えるのは、放映されていた半年間、めいっぱい楽しませて貰ったということ。今もまだ、連動した企画などで楽しませて貰っているということ。

 ベタのなかでも最もベタだけど、やっぱり最終回の感想の最後は、これしか無いんじゃないですかね。

 ありがとう、そして、ありがとう。

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 ライブビューイングでも桂正和がいろいろと内容についてほのめかしていて、来年までなんて待っていられません……。


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 問題の初回版はこちら。もう「初回」版じゃないのにね……。ちなみに現状は注文不可の状態。受付再開は無いのかな。あっても来年とか?フィギュアーツの生産の問題なんだろうなあ。