OVA 『鴉 -KARAS-』

 最近大ハマリの『TIGER&BUNNY』。
 その監督つながりで、元から興味のあったこの作品。ネットショップのキャンペーンに合わせて、レンタルで視聴してみました。

 監督(さとうけいいち)・キャラクターデザイン(羽山賢二)・音楽(池頼広)・編集(奥田浩史)・妖怪(タイバニではメカ)デザイン(安藤賢司)と、スタッフの多くが共通しているこの作品。
 ただし、ヒーローものという共通点はあれど、テイストはまるっきり違っているので、視聴の際には注意が必要。
 基本的にダークな世界観で、流血表現遠慮会釈なし、若干ホラー風味も有りです。

 それでも、タイバニに通じるものが沢山あって、思わずニヤニヤ。3Dと2Dの融合や(フェイスオープンの源泉がここに)、ワイヤーアクションっぽい部分や、茶色で描かれた主線や、エフェクトの付け方や、さとう監督どんだけクリスマスが好きなんだよ。とか、なんやかや。
 他にも、細かいシーンで既視感がありまくりです。いや順番としては逆なわけですが、ここで培われたものを、とても軽やかに使いこなして作られているのがタイバニなんだなあと。

 似たもの談義は置いといて。

 一晩で一気視聴しました。
 とにかく映像のクオリティは折り紙つき。細々とした部分まで気を配った画面作りは、こだわりの濃さがまあ凄いこと。
 ただ、それゆえに、第一話での取っつきの悪さは異常。長いアバンタイトルで見せられる戦闘シーンは、目には麗しいけれど視聴者の置いてけぼり感が半端ない。
 しかしそれを越えて第二話を見れば、物語とキャラクターと映像美、その全てが融合した「アニメーション」の楽しさに、ぐいぐいと引き込まれること請け合い。

 一から十まで説明してくれる親切なアニメではないので、若干の戸惑いはあります。実際、アマゾンのレビュー等を見ても、能動的に設定を調べないと理解し難いとの声がちらほら。
 しかし、私は面倒くさいのでそのまま見てしまいましたが、大まかな流れに身を任せて見れば、決して説明不足というわけではありませんでした。
 話数が進むにつれて、テンションはきっちり高まってゆきます。終盤の盛り上がりと大団円、エピローグに至る流れの美しさは、素晴らしかった。
 キャラクターもみな魅力的で、ことに力の弱い妖怪のキャラ達がみんなかわいくて、目にも楽しかった。
 個人的には鵺が一押しであります。飄々としつつ謎と決意を秘めたキャラ、ってずるいよなあ。しかも、とっつき難かった第一話で、ただひとり人間らしい(妖怪だけど)表情と言動を見せていたことが、ポイント高い。
 死亡フラグ立てまくりで、途中からハラハラしつつ見てしまったことよ。

 主人公の鴉とヒロインのゆりねも、絵&キャラクター性はとてもとても魅力的だったんですが……俳優キャストは、ちょっとやっぱり、苦手。しかし、淡々とした演技がキャラの設定と合致していたので、さほど気にはなりませんでした。
 計算していたのかな。だったら凄い。

 濃密な、濃厚な、アニメ「鑑賞」の時間。堪能しました。タイバニ補正色眼鏡つきでも無しでも、見て損はしませんことよ。

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鴉 -KARAS- フルエピソードエディション [Blu-ray]
 BDだと一枚で通して視聴できちゃう。これはちょっと惹かれる。30分×6話で、180分。一気視聴、ええじゃないか。コメンタリがあるので、実際にはその倍の時間、視聴しちゃうわけですが。