K#13「King」(終)

 遅れての視聴だったので、続編が発表されたことは知っていましたが、放映終了後ではなく間のCMで告知されるとか、けっこう斬新じゃないでしょうか……。
 っていうか最初から分割二期って知っていたら、また違う印象を持って見ることが出来たのになあ。それをあえてさせないために(あるいは単にマーケティング上の問題かもしれませんが)情報統制していたのでしょうけれど。

 ロイヤル・デューティ。王族としての責務。
 そこに的を絞れば、極めてシンプルな物語であったのだな、と。
 不死であることを逆手に取った(というか、これも賭けレベルなのかもしれないけれど)ヴァイスマンことシロの捨て身の戦法、赤の王・周防尊と青の王・宗像礼司の避けられないカタストロフと決着等は、なんだかんだでストレートな燃え展開。
 周防と宗像の関係というか熱量の高さ(こんなバリバリ友情の間柄だったっけ……?)が、若干理解しがたくて、そこは勿体無かったですが。

 結局、周防の行動規範は、多々良の敵討ち、ひいてはクランズマン……己を慕う者にかける想い、という一点に集約されていたんだよなあ。八田みたいに分かりやすく出してはいなかったけれど、徹頭徹尾、それだけ。
 一方の宗像は、王でありつつ、セプター4という組織の長として秩序と統率の守り手・象徴たる存在であることが第一義。
 これら赤と青の王、そして無色の王に比べて、第一王権者であるヴァイスマンの柔軟なこと。というか、王は元からしなやかな存在であったところ、次第に硬直していってしまったんだろうか。

 王という存在を、当人ではなく、クランの、クランズマンの有り様をもって、それぞれに描いて行きたかった……んだろうなあ。
 結末を迎えての各キャラクターの言葉や表情は、ひとつの人格としてきっちりと作りこまれていることの伺える、各々の心情や心境が如実に感じられるものでした。

 しかしこのサブキャラの作り込みが、調和を乱す一因であったことも確か。しかも説明の多くを他メディアに負っており、アニメ本編における描写が時にちぐはぐになったり、意味を取りかねるものになってしまっていたことは、かなりのマイナスではあります。
 この最終回にしたって、唐突な八田と伏見の過去回想には、思わず指をさして笑ってしまいましたもの。ここで入れるのかよもっと手前で入れておくべきだっただろうオイコラ。と。でなければ、潔く切ってしまうべきだった。
 そういう、緩急のつけどころ、語る部分語らない部分の配分のおかしさが、最後の最後まで散見されたのは、やっぱり、物語の構成、構築、そしてメディアミックスで各媒体に割り振る作業工程において、問題があったとしか。
 アニメ本編に詰め込むには設定や情報が多すぎたことは確かですが、そこであえて全部放り込んでしまうという選択肢も取れたんじゃないかしら。スタイリッシュな画面にこだわるがゆえに情報量を抑制している、という部分もあったように思えるし。
 それもひとつの選択肢、なんですけれどね。

 なんというか、仇花のような作品でした。
 作画と演出のクオリティの高さ、物語の舌足らずさ。スタッフの熱意と思い入れの過剰さに、作品が追いついていない感バリバリ。
 あのですね、ちょっと痛いことを言いますけれど。いわゆるひとつの「頭の中で考えているうちは大傑作だったのに、形にしてみたら、なんか思ったとおりにならなかったぞ?」みたいなノリを感じるのです。

 しかし。そのへんひっくるめて、個人的には、なんだかとても憎めないアニメでした。「ハマる」というわけじゃないんですが、愛せる、愛すべきアニメだなあと。
 要因として一番大きいのは、スタッフが心から楽しんでノリノリで作っているという感触が常にあったこと、かなあ。
 加えて、決してオタ舐めじゃない、手抜きじゃない、妥協しない姿勢で作っているのだと、伝わったこと。
 ……あとは、個人的なアニメ感想の観測範囲が男性圏寄りであるため、あまりの受け入れられなさに、擁護したくなってしまった、というのもあります。これはちょっと外部要因というか、作品内容とは関係ないですが。

 ともあれ、続きはあるわけですし。
 次はもうちょっと舵取りがうまくいくといいな。

 スタッフの皆様、おつかれさまでした。楽しませていただきました。ありがとうございます。

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 最初から最後まで、とにかくネコは可愛かったなあ。もっともっとシロとラブっても良かったのよ?いやなんつうか恋人とかそういうのではなくて、にゃんこ愛的な意味で。
 ラスト近くがまたけなげ可愛かったですが、にゃんこの姿に脳内変換すると、さらにけなげ可愛くて泣けます。脳内変換まじおすすめ。まじ。