夏雪ランデブー#11(終)
収まるべきものは、収まるべきところへと。
……明確に描くことはしない部分は、闇ではなく、天へと返し。
オープニングのあの子どもが誰なのか、という種明かしが、最後の最後に来るなんて。というか、種明かしされるなんて、思いもよらなかった。素敵な作りだなぁ。
とりあえず、基本的には、丸く収まった最終回でした。葉月が元の身体に戻り、六花ちゃんと一緒になって、しあわせにくらしましためでたしめでたし。
全体にしっとりとした雰囲気を保って、最後まで落ち着いた、どろどろ含めて大人のおとぎばなしであったなぁと。
一度は死を覚悟してしまう(というか、場の雰囲気や、期せずして己のもたらした悲劇に酔ってしまったっぽいですが)六花には、どっきりさせられましたが。
これ実は葉月と島尾、ふたりがかりでいちど「そこまで追い込んで」から引き戻す、ような感じなのかも。
そういう意味では、ある意味、確かに心中であり。再生であり。
本当に、六花の幸せだけを願っていたんだな。島尾。
この終わり方については、なかなか賛否両論になりそうですけれど、葉月と島尾をダブル主人公として考え、物語そのものの軸には六花という存在が据わっており、と考えれば、落としどころとしては悪くはないと思います。
ただ、いわゆる普通の物語収拾ではなかったし、それが効果を発揮しているかと問われると、なかなか即答できないものではありますけれど。
絵本の世界が、ぶちっと切られちゃったのが、個人的にはいちばん残念だったかなぁ。あっちはあっちで、崩壊するにせよ円満にせよ、結末を描いて欲しかった。
全体通して、クオリティはさすがのノイタミナ、人物の芝居をはじめとする作画全般は良好で、見ていて存分に浸ることが出来ました。
また、プレスコによる独特の空気感が、時おり息を呑むほどの緊張をも生んでおり、目と耳に贅沢な作品であったなあという印象。
ストーリーは、中盤からの冗長さと、ラストシーンの曖昧さがどうしても減点対象になってしまいますけれど、若干の残酷さも備えた大人の童話として、面白いものだったと思います。
2012年の夏アニメでも、ことに楽しみにしていた、楽しませてもらった作品でした。
スタッフの皆様、素敵な作品をありがとうございました。
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夏雪ランデブー 4 (Feelコミックス)
原作最終巻の表紙は、紅く燃ゆる六花。思えばすべては六花に始まり、六花に終わる物語でした。
アニメでは若干説明不足の点も、補完されているのかなぁ。やっぱり読んでみるべきか。