Fate/Zero 2ndシーズン#25「Fate/Zero」(終)

 そして物語はゼロへと至る。

 この作品単体では、実にまあ欲求不満が残るラストになるだろうな……と思い、だいぶ構えた気持ちで見ていたのですが。
 予想外に綺麗に落ち着いたラストでした。
 切嗣から士郎へと受け継がれる意思……あるいは遺志が、若干歪んで見えつつも。
 その選択は、次の世代に引き渡され、また形を変えていく可能性の種となった。

 残っていたマスターとサーヴァント達も、きちんと全員、あるべきところへ収まった感。
 右も左も悲劇ばかりの中、ウェイバーは最後まで癒しでしたありがとうありがとう。
 ほんと、ウェイバーが影の主人公という説には、頷かざるを得ない。

 後顧の憂い的な意味で、ギルガメッシュと綺礼が生き残った(生き返った)ことには、後の時代の物語があるとはいえ……あるからこそ、見ていて、あああ……と思ってしまう。いやまあ文字通り生まれたままの姿のギル様は、眼福というより天衣無縫(いや着てないから)に感じられました。
 綺礼はその後、時臣の葬儀シーンでも、実に厭な雰囲気を醸し出してくれて、ほんと厭なやつだなほんと(褒め言葉)。
 壊れかけの切嗣を見た時の表情にだけ、若干癒されました。たいがい見る方の神経も擦り切れてきているということだろうか。

 その切嗣にしても、見ていてうっかり溜飲が下がったもんな……うん。

 全体を通しての感想が、なかなか難しい作品です。なにしろ、ほぼすべての要因が、旧作へと繋げるために存在しているので。ステイナイトとセットで考えることが大前提。

 そういえば、最終回のエンドロールを見ていて思ったのですが、シリーズ構成及び各回の脚本家の名前を個人名で記さないというのは、面白い試みでありましたね。
 普通は脚本家の名前が出ると、どうしてもその「人」に向かってしまう部分があるのですが、この作品については、そういった方面にあまり頭が働かなかった。
 元来、原作のアクの強さが際立っているだけに、中庸を貫き、アニメ脚本の作家性を削ぎ落とし、原本のエッセンスを極限まで尊重する、という。これはこれでひとつの手法なのでしょう。原作つきアニメについては、わりと相性は良いかもしれません。
 ただ、その分、無難な方へ無難な方へと全体の方針が振れてしまう危険性もあることは否めない。

 ともあれ、分割2クールで、足掛け九ヶ月。面白く視聴させていただきました。
 スタッフの皆様、おつかれさまでした。ありがとうございました。

amazon link

フェイト/ステイナイト[レアルタ・ヌア] PlayStation 2 the Best
 そして物語はステイナイトへ。っていうのも、いいんじゃないですかね。いまさらPS2を起動するのは面倒くさいと思う向きもありましょうが……Zeroをきっかけにプレイした、という方のレビューがとても熱くて、興味深かったり。

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村 アニメ感想ブログ