『京四郎と永遠の空』(2007年・TVアニメ)

 某所に投稿したレビューを一部改稿。
 おそらく少女マンガの文脈で見て、何となく好きだったアニメ、『京四郎と永遠の空』のレビューです。

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京四郎と永遠の空 〈期間限定生産〉 [DVD]
 原作:介錯
 監督:柳沢テツヤ
 シリーズ構成:植竹須美男
 キャラクターデザイン・総作画監督藤井まき
 デザインワークス:まさひろ山根
 音楽:窪田ミナ

 白鳥空:矢作紗友里
 綾小路京四郎:小西克幸
 せつな:松岡由貴
 かおん:川澄綾子
 ひみこ:下屋則子
 綾小路一夜:成田剣

 介錯の原作による作品。なんでも介錯の手になる過去作品のキャラクターや要素が散りばめられているそうで。
 私はそれらを一切知らず、白紙の状態で視聴しましたが、普通に楽しめました。過去作品を知っていれば、さらに楽しめるのかな。

 白鳥空というヒロインの純粋な可愛さに惹かれ、京四郎の王子様っぷりに惹かれ、京四郎のパートナーであるせつなのけなげさに惹かれ。
 原作が無い(当時、コミック版が同時進行だったはず)ことによりアニメオリジナル作品同様にストーリーの先が分からないことも、思わせぶりな伏線盛りだくさんの作品性に合っておりました。

 ことに、空というキャラクターの恥ずかしいまでの純真さ、夢見る乙女のイデアのような描き方は、引いてしまう人も居るかもしれませんが、受け入れることが出来れば、かなり好きになれるのではないかな、と。ただ、逆に言えば、好きになれない場合、視聴を続けるのが辛いレベルかもしれません。
 描き方は、少し前の少女マンガのヒロインそのままであります。自分に自信が持てず、引っ込み思案な性格で、夢見がち。元気な友人が居るあたりも、良い意味で定型。

 そして、この手の(いわゆる萌え系に分類される)アニメには珍しく、王子様キャラを貫き通し、しかし弱点やコンプレックスも露呈して人間くささも見せてくれた、京四郎というキャラクターも魅力的でした。クールメガネ好きには、たまらないキャラクター。というかメガネスキーとしては、見ていてごろごろ転げまわるレベルの素敵メガネでありましたよ……。
 この期のメガネ枠として、大事に見ていた記憶があります。ハイ。

 キャラクターのみならず、全12話、1クールで綺麗におさめ、あるべきところへ収束していった物語も、なかなか見事でした。
 ラストは、若干センチメンタリズムに流され気味ではありますが、物語としての美しさ、また、ここまで高めていったキャラクター各々の「想い」が結実しており、素直に感情移入できるものに。
 恋愛要素、そして空もしくは京四郎に感情移入することが出来れば、隠れた良作として楽しめる一作。

 2011年9月22日発売・12月までの期間限定生産で、DVD一枚組が発売されます。コレクションとしてお手軽。
 というか、全12話って、DVDに収まるものなのね……画質はどうなんだろう。