UN-GO#5「幻の像」

 脚本・會川昇氏のツイートによれば、今回のエピソードにおける安吾の引用は「戦争論」「特攻隊に捧ぐ」からのものだそうです。
 私はいずれも未読ですが、タイトルだけで重い。

 青空文庫「戦争論」(坂口安吾)
 青空文庫「特攻隊に捧ぐ」(坂口安吾)

 引用題材を事前に知っていたので、戦争、自己犠牲といったものがテーマにかかってくるのだろうとは思っていましたが、そこに新十郎と因果の問題まで絡めてくるあたり、お見事であります。
 それでいてガチガチに固かったり、偉そうに構えている印象は皆無なのも、地味に凄い。

 美しいもの、というのが、ずっと通しての命題なのでしょうね。
 事件の内実は、いつも「美しい結末」からは乖離している。けれど、真相を解き明かす過程において、常になにかしらの「美しさ」は見い出される。……たいてい、直後に踏みにじられてしまうわけですが。

 二話構成だった3・4話に比べて、一話完結だとやはりだいぶ詰め込み感があって勿体無い。
 いずれにせよ、じっくりと見て、台詞を聞き込んで楽しむべき作品であるなあ。という認識はずっと変わりません。
 いわゆるアニメファン的な消費方法では語れないんだよなあ。

 まあ、そういう見方も普通に出来るし、それでも充分に楽しいんですがね!
 風守はぬいぐるみ可愛いし因果は小悪魔可愛いし新十郎はへたれ可愛いしお嬢様はニート可愛いし(えっ)。
 いろいろな意味で、ほんと面白い。楽しめる作品です。

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明治開化 安吾捕物帖 (角川文庫)
 重版がかかったようですね。むしろ絶版戻しかも……ね。青空文庫も良いんだけれど、やっぱり紙の本で読みたいと思ってしまう。わたくし古い人間、かつ、紙の本大好き人間なのです。