宇宙兄弟#72「日々人の障害」
日々人のパニック障害について、だいぶん酷い状態であることが、冒頭から再度強調され、暗澹たる気持ちに……なるところでしたが、シャロンとの対話でしっかりと緩和されました。
互いに辛い状況にあることで、逆に互いを希望にして目標に出来る。その、逆転の前向きさ。
もうひとつ、ここで大きく転換させられるのが、ここまで完璧超人(ちょっとヌケているところは別として)に見えてきた日々人の真実。
そう見えていたのは、視聴者が「六太の目」から見ていたから。
日々人がそう見せたかった、「六太の目に映る日々人」。
辛くてもしんどくて、六太の前には、何事もなかったみたいに平気な顔をしている。
六太に対し、常に弱みを見せずにいようしていた。弱み……というより、弱っているところ、かな。
ゆえに、六太(と、六太の目を通して見ている視聴者)には、常に日々人は素敵に無敵に見えていたという、このからくりは、唸らされるものでした。
同時に、日々人という人物が、これまでとは違った人間くささの魅力を存分に発揮し始めて。
いやもう、どんな弟だ萌えさせてくれるぜちくしょう。
しかし素直にお兄ちゃんに頼ってもいいんだぜちくしょう。
一方の六太は、バギーの改造にとっくみちゅう。
宇宙飛行士であることを生かし、宇宙飛行士に聞き、というだけではなくて、過去の人脈と経験をも生かすというあたり、実に気分のよい展開であります。
伏線、積み重ね、これまで綴ってきた物語、築かれてきた世界と人間関係。そういったものをすべて踏まえているから、説得力がある。重みがある。
地味だけれど、そういう地味さって大切。少なくとも私にとっては、重要視する部分。
多くの作品が終盤の展開に向けて走り出しているこの時期、より強く感じてしまう。のだな。
ともあれ次回はバギー開発のプレゼン。六太のウルトラCが決まってくれるか。
さらなるカタルシスを見せてくれるか。
楽しみであります。じんわりと。
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宇宙兄弟(14) (モーニングKC)
原作はこのへんかな。14巻。アニメはゆっくりじっくり丁寧なペースで進んでいますが(原作の二話分=アニメの一話分)そのうち追いつくこともある……のかなぁ。原作は週刊誌連載ですが、二〜三週に一度くらいしか掲載されなくなっているので。