RDG レッドデータガール#12「世界遺産の少女」(終)

 駆け抜けた最終回でありました。駆け抜けたなぁ……本当に……。
 唐突に見えたシーンが数多くありましたが、うん。まあ、しょうがない。

 どうでもいいけどポチが無駄にかわいかったです。原作未読の人は、ここに至ってやっと、オープニングの意味が分かるようになるんだな。と思ったら最終回はオープニングが無かった!あらあら。

 以下、原作に触れつつの感想になります。ネタバレには注意を払いますが、こういった感想が苦手な方は、ご注意下さい。

 幾度か触れておりますとおり、原作全6巻のところ、5巻までのアニメ化。
 学園祭編のクライマックスを最終回に持ってくるのは、ストーリーの起伏的には納得のいくところ。

 ただ、いくつかの問題は確かにあります。
 たとえば、ここまで確かに仲間であり、友人であった真澄が、ラスボス扱いになってしまったのは違和感があるし、なんとも物寂しい。
 最も重要、というか残念なのは、この事件により「世界遺産」として衆目を集めてしまった泉水子と、ほか全てとの関係に変化が生じ、そこからさらにひとつ階梯が進んで未来への道が開けていく清々しさのある原作第6巻……完結に至る巻を語らなかったことにより、作品全体のテーマが霧散してしまったこと。
 世界の終焉が!とか、敵対勢力との決着が!最終決戦が!大バトルが!とかそういうのでは全然なくて、泉水子の成長と恋愛、それにより広がってゆく世界。
 自分を受け入れ、他人を受け入れ、成長することにより、どこまでも広がってゆく世界。未来。
 テーマはそこにある。

 アニメにおいて、この「成長」について最後まで語られずに終わってしまったのが、とても残念でした。
 超高速ぶっ飛ばしながら、原作の事件の流れとエッセンスを押さえつつ、全体の雰囲気などは、背景・演出の力により美しく織り上げられていたので(それが逆に雰囲気アニメと受け取られる原因にもなってしまったのかもしれないけれど)、ほんと最後まで見たかった。

 とか言いつつ、もうひとつの大きなテーマである「恋愛」については、絵がついたことによりとても強く打ち出されていて、それについてはかなり満足というか楽しませてもらいました。
 これまた原作ラストのあのシーンが無いのは残念だけれど、とにかく深行の台詞、所作に、ひとつひとつ意味が込められていて(そのへん原作では、鈍感な泉水子の視点なだけに、よくよく注意しないと読み取れなかったりする)、いやあ萌ゆすなぁと。
 泉水子が可愛すぎるほど可愛いのも、最初は違和感がありましたが、アニメとしての画面映えは素晴らしかった。
 キャストもとてもよく合っていて、今回は特に強い叫びのみならず、ふとした息遣いの演技など、はっとさせられることが多々ありました。

 結局、全体としては、とても高品質に丁寧に作られたアニメで嬉しかったけれど、それゆえに尺の足りなさ、取捨の「捨」の多さ、完結までアニメ化されなかったことが、残念でならない。それに尽きます。

 ほんと、6巻の内容、映像化してくれないかなぁ。ほんのちょーっとだけ、最後の最後に「映画化決定」が出ないかなって期待していたんだけどなぁ。
 代わりに愉快すぎるエンドカードが出ちゃいましたな!

 ともあれ、1クール、短い間でしたが、楽しませていただきました。原作既読組ゆえの文句も垂れましたが、前述の通り、作品自体の出来が良かったからこそ、「もっとじっくりと見たかった」のであり……はい。
 スタッフの皆様、ありがとうございました。

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RDG6 レッドデータガール    星降る夜に願うこと(カドカワ銀のさじシリーズ)
 アニメでは完全に省略された、原作第6巻。サブタイトルは「星降る夜に願うこと」。ああ、少女だなぁ乙女だなぁ……。
 しかしまあこちらのレビューにも「第二部を!」「続きを!」という声がたくさんありまして。そういう終わり方ではありました。第二部が書かれて、再度アニメ化されたりしたら、とても嬉しいのですけれど。刊行ペースはそう速くはないので(原作の第1巻は2008年7月発売、第6巻が発売されたのは2012年11月)、淡い儚い願いとして、心の底に沈めておくべきか。
 しかし本当に、クリスマスパーティに関するあれこれは見たかった。ああ。

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