RDG レッドデータガール#8「はじめてのお願い」

 夏休み編、または宗田兄弟編の完結。
 真澄の正体が明かされましたが、彼の浮き世離れした……いや元から浮き世の者ではないけれど、それにしても人間の思考形態と乖離しすぎているふしがあったのは、実際に「人間ではないもの」だったから、という。
 永く生きてきて、これからも永く生きていくものの、束の間の、たゆとう夢。1/9の夢。

 この作品全体に言えることですが、人ならざるもの、またはそれらに連なるものの思考は、本当に異質な独自のしきたりと諦念とで構築されていて、ゆえに、なかなか理解し難い部分があります。
 例えば和宮と泉水子の関わり方や、高柳の持つ価値観とプライド、そして今回の真夏と真澄と九頭龍の来し方からの縁。
 これは原作からあったもので、この違和感、異質さをもそのまま受容して、彼らの世界観(本来的な意味に近い方の)を咀嚼し、解することが、独特の楽しみと味わいになっている……と、思います。

 ゆえにまあ、アニメにはあまり向かない素材なんですよね。
 実際、原作未読で見ている人には、何が起こっているのか、何の話をしているのか、何で事件が解決したのか、理解し難く感じる部分も多いようですし。

 けれど今回、九頭龍のビジュアルが実に美しくて、恐れではなく畏れを抱くべき存在としての説得力を持って描かれていたのが、とても嬉しかった。
 和製ファンタジーアニメとして、今までの作画・背景美術・音楽等含め、ここまでの高品質で作ってくれたこと。純粋に嬉しいです。
 アニメ化してくれて良かった、ありがとう、と。つくづくと思いました。

 まあ、単純に、泉水子ちゃんかわいい。深行との会話ほほえましい。ので、それを見守るだけでも、アニメ楽しいですけれど。
 主人公ふたりをはじめ、キャスティングが本当にハマっているんだよなぁ。真夏役の石川界人は、今期、レドとの対比も面白い。真澄役の木村良平も、すっとぼけた明るさが逆に人外のものらしい不穏さを醸し出している感じ。
 
 締めに流れた、再度の泉水子バージョンなエンディングも素敵に。ご褒美のような、Cパートでの会話も楽しく。
 ごくごくごくたまに稀に、ぽっちりだけ差し挟まれるから、より純度が高まって、極上の味わいになるのだな。と思うんですよ。ラブ要素。それをねっちり味わいつくすのが、幸せなんですよ。
 そういう楽しみ方をする作品があってもいいじゃない。

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RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた (角川スニーカー文庫)
 メル版、ようやっと3巻。放映中には追いつかないな。というか、最終の6巻はまだ文庫化もされていないし。
 そういえば『GOSICK』はどこまで発売したんだろう……やっぱり『氷菓』の時のように、超幅広帯ってのが正解じゃないかしらん。定着してくれればいいのに。

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