RDG レッドデータガール#6「はじめてのお泊まり」

 原作では3巻にあたるエピソードに突入。
 突然の夏休み話。突然の旅行。突然の生徒会執行部入り。突然の(略)
 いやあ。すごいスピードで原作の紆余曲折、枝葉末節をばっさばっさとカット。

 全部が全部、台詞の説明で済まされていて、悲しい……錯綜する思惑が多々ある中、もたもたと悩みつつ惑いつつ自分のやるべきことを模索していく泉水子を見守る楽しみが六割くらい消滅してしまった。

 例によって、メインとなるストーリーはきっちりと押さえてはいるし、ある程度もう覚悟はしていたことですが、よりによって泉水子が能動的に動いたり、意志の強さを見せるシーンばかりがカットされているのは、少々痛かったです。
 補習の危機を、必死で勉強して乗り越えるとか。
 高柳の挑発を、しっかりと受け止めるところとか。
 真響のために、男子ばかりのアウェイであるSMFに乗り込むとか。

 ……挙句、酔っ払うシーンは、やたらあざとい演出でしっかり入れるんだもんなー。いや後の展開に直結しているから、しょうがないんですが。

 などと、ぶちぶち言いつつ、しっかりと楽しむところは楽しんで見ております。すいませんすいません。
 戸隠の風景が美しいし、ナンパからガードする真夏と深行はよいかんじだったし、酔っ払う泉水子に取り乱す深行もごちそうさまだったし、見どころを作り込んではくれているな、と。
 どこが見どころって、そういう細かいところから、互いの心の壁が崩れていく過程を眺めて、ニヤニヤすることですから。この作品。ええ。
 決してアクションとか世界の危機とか学園に渦巻く陰謀とかが本題じゃないのですよ。なかなか伝わりにくいけれど。
 もう少し、ベタにしてもいいのにな。でも、この独特の上品さも、持ち味なんだよな。

 今回の白眉は、夢うつつ状態での泉水子と真澄の邂逅シーン。
 夜の帳、星空の下、異界の者との心の交流。
 この作品らしい情感と浪漫が溢れていて、たいへんときめきました。泉水子かわいいなぁ。真澄かわいいなぁ。

 真澄&真夏の天然さと、真響のロジカルさの対比がまた、面白かったりもします。
 その真響の仕掛けにより、なにやら不穏なシーンで緊迫感を出しつつ引きとなった今回。こんな完全に「続く」にしちゃうのも、昨今珍しいような気が。

 夏休み編、まだまだ続きます。

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 原作者の処女作にして代表作。単行本、ノベルス、文庫と、それぞれに方向性が違いながらも、装丁が美しく端整なのは共通していて、嬉しくなります。
 荻原規子ならこれを映像化して欲しいと思いますが、実現して、実写キャストやらアニメ絵やらのカバーをつけられても何だな。それ以前に、日本神話を題材としている時点で、多メディア展開は難しいかと思いますが。

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