輪るピングドラム#23「運命の至る場所」

 観念的な表現に特化していること、観念的な世界において最も大きく話が動くことは、初期から変わらず。
 ただ、その提示方法が、ごく初期、序盤、中盤、終盤で、それぞれ少しずつ変わっていっているのが、面白くもあり、多くの人を振るい落とす結果となった原因でもあり。

 正直、私も、1995年のあの事件がモチーフとなっていると気がついた時には、生理的嫌悪感に近いものすら感じました。
 何度か書いていますが、「なつめまさこ」という名前に関しても同様。
 このふたつについては、今でも、本当に必要な要素であったのか、疑問に思っています。

 それでも、ついてきて、良かったなぁ。
 こんなにも美しくて醜いものを見ることが出来て。

 ことに、海での陽毬と晶馬の語らいは、屈指の名シーン。
 冒頭では、ぶっちゃけ「まーた陽毬の死ぬ死ぬ詐欺か」と思いながら斜めな気持ちで見ていたのですが、気がつけば背筋を伸ばして、ひたすらに見入っておりいました。

 そして冠葉が晶馬を抱くシーン。魂の奥から出しているかのような低い声の響きと、乖離した所作の静謐な優しさに、見た目は感動的でありながら、底冷えのするような怖ろしさがありました。

 声、ということであれば、ラストでの眞悧の宣言もまた、文字通り痺れるものであり。
 ただしそれは、毒の痺れであり。

 あと一回。
 ただ座して待ちます。
 どんな結末であっても、それが「輪るピングドラム」という作品なのだな、と受け入れる気持ちでいます。

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 ペンギンたちの小芝居も、完成形であったなあ。さんちゃんかわいいよさんちゃん。
 このぬいぐるみの画像を見るまで忘れていましたが、そういえば2号って、初期はごきぶりキラーでキャラ立てしてたんだっけ。あれは、いったい、どんな意味があったのでせう……。

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